日本大好きじいさんの落書き帳

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自立国家の建設 036

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実は新田は、今朝方秋元女史から突然の依頼を受け、ホットラインを通して急遽国井にまで伝えてあることがあったのだ。

それは表向き、国王の伴侶を選ぶに当たって、単にその選択肢を広げておきたいと言うレベルの話題であった。

だが実際は、モニカとか言うアメリカ娘に惹かれている若者の気持ちを、少しでも変えさせたいところに本音があるらしい。

京子にとって何にもまして大切なその若者は、思春期の発芽を覚えるころには異星人との凄惨な戦いに明け暮れ、やっとの思いでその撃退に成功したあとは、散々に蹂躙されてしまった荘園の復興にその日々を過ごして来たと言い、男子としての肝心な成長期に、身を粉にして働きづめに働いて来て、全くと言って良いほど異性に触れる機会を持たなかった。

一言で言えば、そのような優雅な余裕など全く無い思春期を過ごして来たことになるのである。

京子としては、このような特異な育ち方をして来た若者に、世の中にはさまざまな種類の沢山の女性がいるのだと言う現実を適度に体験させ、健全な男子としての当然の学習をさせたい。

そのためには、さまざまの女性と数多く接触する機会が必要であり、それも女性的魅力を豊かに具えた女性こそ望ましく、若者のモニカに対する恋情を薄れさせてしまうほどの威力を発揮して欲しい。

当初、京子はモニカの国外退去を考えたようだ。

タイラーに一言言いさえすれば、それまでの話なのである。

だが、思い直した。

そのあとの若者の反応を恐れたためだと言う。

それに気付けば、今度は若者が自ら呼び戻してしまうかも知れない。

若者が自らタイラーに一声掛ければ、タイラーは小躍りしてモニカを呼び戻してくるに決まっており、そうなれば、ことはかえって逆効果を生み、二人の仲が急接近してしまうことは目に見えている。

やはり、他の作戦を考えねばならない。

しかし、結果的に作戦目的を達成出来たとしても、その新しい女性が第二のモニカになってしまえば元も子も無い。

その辺の兼ね合いを心得た上で、万端よろしく頼むと言うのである。

全く、京子らしい身勝手な戦術を使ってくるものだ。

言って見れば、たかが十九歳の少年にオンナを取り持つ話であり、普通なら、あまりの馬鹿馬鹿しさに呆れ果ててしまうところだろうが、多少脚色されたものとは言えモニカに関するあれこれを聞くにつれ、国井たちは姑息ともとれるこの作戦に積極的に乗ることにしたのである。

この件については、個人的にも京子の心情に強い共感を覚えてしまったものと見える。

殊に国井などは、自分の息子がそのようなタイプの女性を好きになってしまった場合のことを考えれば、とても他人事とは思えないらしい。

又、それだけ若者のことが好きなのである。

無論、政治的な思惑も無いでは無い。

絶大な力を持つあの若者に、そのようなタイプの女性が強い影響力を行使するなど思うだに恐ろしい。

場合によっては収拾のつかないほどの紛争さえ引き起こしかねず、日本と秋津州の絆にも深く影響してしまうかも知れないのだ。

若者の親日的な思想信条も変な方向に転換させられてしまうかも知れず、そのようなことにでもなれば日本の国家的損失は計り知れない。

少なくとも、あの若者に強い影響力を持つ女性は絶対に親日家であって欲しいのである。

理想は、最も日本人らしい日本女性であることは勿論だ。

いや、これこそがこの作戦の眼目であるべきなのだ。

こうなると、最初の内こそ軽い気持ちだったものが、今や切実なものに変わってしまっており、この件では、大勢の部下を使って既にかなりの部分でその対応を済ませてもいた。

無論、部下たちには作戦の眼目についてくどいほどに徹底した。

このような立場に立たされた部下たちも気の毒と言えば気の毒だ。

中には、大いに屈辱を感じて憤りを露わにしてしまう者もいたらしく、影では「そこまで下劣な品性など持ち合わせてはおらん」とまで罵った者までいたそうだ。

しかし、その全容を知るにつれ、日本の国益を左右するほどの重要な作戦であることも理解出来る。

国家の安全保障に関わるとまで言っても、決して言い過ぎではないのだ。

まして、このことは若者本人は全く知らされてはいないのだと言う。

当人が望んでいるわけでは無いことを知るに及んで、不思議なことに逆に張り切る者が増えた。

このような背景の下に、さまざまな物事が密やかに動く過程で、メディアの間に情報が流出していくのも又自然の成り行きであったろう。

ただ、その情報もかなりいい加減なものが多く、某一流ホテルで開かれる国王主催のレセプションの話になっていたり、主催は日本側で場所は官邸になったりして、その内容は多種多様のものに変質してしまっていた。

中にはその場所を秋津州国内とするものもあり、メディアの中には当局の全くの沈黙に対して、反感を露わにして大声で情報公開の必要性を叫ぶものもいる。

秋津州対策室の方でも、急遽手を回して二箇所もダミー会場を抑えていたが、無論、情報を攪乱させるためだ。

しかし、現実に招待を受ける個人の側には、その全容までは分からない。

自分のことしか分からないのである。

とりあえずの集合場所としては、秋津州対策室の二階と言うことになっていて、迎えの車も全て当局が用意すると聞いている。

会場は秋津州の内務省ビルなのだが、渡航に際してパスポートも査証も不要であり、特殊な超高速航空機を用いるため、再び対策室に戻ってくるのに、せいぜい三時間もあれば事足りるとも言われていた。

無論、航空運賃も日本国政府の負担であると言う。

かなり強力な緘口令が布かれていたにせよ、この招待を辞退した多数の人々の口から、徐々にその内容が漏れて行くことになるのも自然のことだったろうが、少なくともその機密レベルは非常に高いものであるとされ、最終的には国家の安全保障に関わるほどのものであることを、全員にくどいほど念を入れてあり、いきおい、漏れて行く情報も断片的なものにならざるを得なかったようだ。

しかし、盛装した人々を乗せた車の出入りが激しさを加え始めるころには、秋津州在留のメディアから内務省ビルにおいて開かれるイベントについて確実な情報が配信され、一気に事実関係が明るみに出ることになった。

当然、対策室の周囲一帯に多くのメディアが詰め掛け、騒然たる雰囲気を醸していたのである。

一方、昼前の秋津州ではメアリーが一人気をもんでいた。

急いで伝えたいことが出来たのだが、ダイアンが一人きりで外出したまま、未だに連絡がとれないままなのだ。

開通したばかりの携帯電話も持たせてやったつもりが、それすらも忘れて行ってしまったらしく、その番号に掛けてもダイアンの居間で空しく鳴るばかりだ。

これじゃ、いったい何のための携帯電話か分からないじゃないの。

せめて、護衛役の側近を一人でも連れていれば、緊急の連絡も必ず取れる筈なのだ。

今でこそ携帯電話を持つ護衛の者たちには、つい最近まで緊急連絡用として無線機器まで携行させていたくらいなのだ。

とにかく、急いで連絡を取って、話してやらなければならないことが出来てしまっている。

実は、今朝方貴重な情報を得た。

京子からの直接の情報なのである。

それは、ダイアンにとって強力なライバルの出現を告げるもので、そのモニカとか言う娘を協調して排斥すべく、わざわざ詳細なデータをリークしてきてくれたのだ。

そこでは、当の若者が惹かれる女性の特徴や傾向について詳しく触れられており、大きなヒントが含まれている思いがしてならない。

またつい今しがたも内務省から、今夕に急遽開かれることとなったレセプションへの招きの連絡が入り、他の招待客の顔ぶれも大凡は掴むことが出来た。

その顔ぶれの中には、数多くの各国代表部の者やメディア関係者たちも含まれており、問題の女性やそのグループの者たちも報道関係者の資格で顔を見せる筈だと言う。

そして、短時間のうちに再び内務省から連絡が入り、東京からも急遽多くの日本人女性が出席することになったことが告げられ、それには京子からの伝言として、ダイアンの衣装や装身具についても懇切なアドバイスが添えられていた。

その重点事項はこのライバルの戦術のひそみにも倣い、出来る限り艶やかな化粧や身なりを心掛けるべきだと言うもので、今朝方京子からもたらされた諸情報を充分頭に入れていたメアリーにとっては、一々我が意を得たりと言うものばかりだ。

それなのに肝心のダイアンが帰って来ないのである。

今も多数の者を諸方に走らせており、この狭い首都のことでもあり直きに連絡が取れるだろう。


一方、国井の配下たちは神宮前に三十名にも及ぶ妙齢の日本人女性を集めてくることに成功し、同行を望む父兄たちも含めるとそれは六十名もの多くに上った。

このゲストたちは和洋取り混ぜて美々しく着飾り、二階の大広間を埋め尽くしていたが、係りの者から、このたびのレセプションが秋津州の国土復興を祝って開かれることと、その招待を受けるかどうかの選択の自由が未だ残されていることが改めて告げられた。

勢いに押され、自分の意思に反して連れて来られたなどと、いざとなってから言い出されても困るのである。

当然彼女たちの質問には懇切な説明が行われ、このイベントの出席者に日本人女性が極端に少なく、日秋両国の親善友好のためにもその参加を勧める政府の意向が告げられ、程なく最終的な意思確認を兼ねて、改めて参加者名簿に自署を求めた結果、残ったのは付き添いの近親者を含め四十名を数えたが、その中には十名ほどの国井の手配した女性たちが混じっていたのだ。

彼女たちは通常酒席に侍ることを生業としている者たちなのだが、当局から破格のギャラの提示を受けており、あでやかな振袖姿の一般の参加者たちに負けず劣らず精一杯の盛装を凝らし、殊に華やかな洋装姿が目立つ。

また、参加の意思表示をした女性たちが極めて積極的な姿勢を見せているのも、このイベントの真の目的が、秋津州王妃の候補者選びではないかと囁かれていたためもあったろう。

結局、十名ほどの女性が最終的な局面で参加を躊躇したことになり、それぞれ対策室の手配した車で丁重に送られて行った筈だ。


さて、一方の秋津州では相当な人員が動員されて、粛々と準備が進んでいる。

突然の開催にも拘わらず、出席者数は事前の予想をはるかに上回りそうな雲行きで、内務省四階にある大広間が会場に充てられることになり、酒食の対応には千人分ほどを見込んでいると言う。

尤も、この秋津州始まって以来の華麗なイベントについては、既に数日も前から一部で囁かれてはいたようで、現に京子とメアリーの普段のやりとりの中でも、以前からその話題が出ており、その辺から広まってしまったのかも知れないが、それにしても、その当日の昼になってからの発表と言うのは如何にも乱暴な話で、当然大いに迷惑した者もいたことだろう。

いくらその出席は任意だと言われても、立場上欠席するわけにはいかない者もいたに違いないのだ。

殊に各国代表部の責任者クラスの中には、大いに喜悦して出席の回答をした者もいたが、その影には、対照的に眉をひそめた者も大勢いたろうことも想像に難くない。

もっとも、京子の本心では一刻も早く若者の胸の中から、あのアメリカ娘のイメージを消し去ることだけが重要で、その他のことに配慮するなど二次的なものに過ぎないのだ。

ただ、内務省は私的なイベントのことでもあり、その日程も当日発表と言う特異な形態であることを強調し、参加の任意性を重ねて補強することに努めてはいた。


結局、この立食形式のレセプションは堂々たる規模を以って開かれることになる。

都合四百人ほどのゲストが出席し、会場の裏表で立ち働く者たちは数知れず、会場は着飾った人々の姿で満ち満ちていたのである。

特に、各国代表部の幹部クラスの中で夫人や令嬢を同伴するケースが多く、さまざまな民族衣装に出会うことが出来た。

急遽日本から到着した振袖姿が一段と人目を惹いていたが、例のモニカたちグループもここを先途と装いを凝らし、いずれも華やかにその姿態を彩って必死に獲物に近づこうとしており、一時出御をむずかって京子をてこずらせた若者も軍装のままではあったが顔を見せ、開会の挨拶を済ませたあとは、グラスを片手に徐々に機嫌を直していったようだ。

例の三人の侍女たちも美々しく着飾って酒食を運ぶサービスに就いている上、揃いのロングドレスを纏った百数十人もの女性たちと共に、いわゆるボーイ姿の者も百人以上が接待に立ち働き、大量の酒食が惜し気もなく振る舞われて行く。

聞けば、これ等の男女は真新しいホテル群で働いている者ばかりだと言い、彼らは急遽そこから派遣され、このイベントにとって欠かすことの出来ない役割を見事に果たし、警備陣としては一人井上甚三郎が侍しているだけだったが、実際には膨大なG四が会場の内外をびっしりと固めている。

華やかな会場では国王が各国要人たちの挨拶にも悠揚たる態度を以て応えていたが、その身辺には常に新田と京子の姿があり、近づく招待客を紹介しながら油断なく周囲に目を配り続ける。

当然の事ながら、ゲストの注目と人気は国王に集中し、その周囲には常に人垣が絶えることは無く、最近とみに英会話能力に磨きのかかった国王は、先ほど来アフリカのとある国の父娘と談笑しており、殊にその令嬢とはかなり親しげに話し込む風が目立ち、その話題も、若者の開墾事業についてのものが中心で、令嬢は自国の民の食を賄おうと額に汗する王の姿に、限りない感銘を受けていたようだ。

人間が生きて行くためには、栄養と衛生環境と言うごく基本的な要件があるが、彼女の母国でもそれを満たすことが出来ずに、今も多くの餓死者と病死者を出し続けており、新生児の生存率に至っては驚くほど低いと言うのである。

若者も悲しげな表情を浮かべながら耳を傾け、油断すれば、我が国も又同様の運命に会うかも知れないと応えている。

そのキャサリンと言う令嬢は、しなやかな体躯と漆黒の肌を持つ実に健康そうな女性であったが、京子のデータによれば、その年齢は二十四歳、外交官である父の赴任先のロンドンで生まれ、長じては英国留学の経験を多く持ち、今も国王との会話が弾んでいて、つい先ほどまで若者と多くの会話を交わしていたアラブ系の美女が、諦めたようにさりげなくその場を離れて行く。

とにかく多種多様の人々が、争って若者との懇親を求めて集まって来ており、殊に、いまだ開発途上にあると見られる国々の要人たちなどは、秋津州財団の総裁としての若者の方に、より強く引き寄せられて来ている気配がある。

そして、ようやくその人垣が小さくなるころには、京子のさりげない誘導により、その周囲には日本人女性の姿が目立って来ており、十人を超える振袖姿が和やかに歓談していたが、この目も綾な一団の中に頭一つ大柄な女性の美しい姿が目に立ち、さながら鶏群の一鶴とはこのことかと思わせていた。

黒地を基調とした振袖に色白の肌色が実に良く映え美しくも華やかであったが、中でも京子の視線を惹いたのは、鶴と亀を鮮やかにあしらった豪華な衣装に、小さな五つ紋が付けられていたことだ。

大振袖に五つ紋など、見渡す限りその女性ただ一人だけであり、京子の電子回路の中のデータがめまぐるしく検索され、直ぐにヒットしたその娘の名は久我京子、二十歳となっていて、それも、つい最近誕生日を迎えたばかりと言うことは、王とはほぼ同年と言って良いだろう。

未だ学業中の身であると言う。

背丈についてのデータは無かったが、王の侍女たちよりは幾分小柄に見えることから百七十センチ代半ばほどのものであろう。

また、京子が注目したその紋は五つ竜胆車だ。

世に久我竜胆と呼ばれ、本来村上源氏たるべき久我家のもので、その本宗は七清華家の一つでもある。

その後、京子のところへも挨拶に来た久我父娘は、やはりこの家系のもののようであり、父親の亮一氏はその名も知れた久我電子工業のオーナーでもあった。

この父親の方がかなり積極的に招待に応じたことも分かっており、殊にビジネス上の絆を強く求めていることも、しごく当然のことと言える。

又、娘の京子の方はたまたま秋元京子と同名であったことに、ある種の奇縁を感じるらしく、その話柄で見せた大らかな笑顔が強く印象に残ったが、その酒量も相当いける様子で、純白の頬を染めながら「お許し願えれば、京子お姉さまとお呼びしたいわ。」などと言いながら、美しく整った顔にかなりの親しみを浮かべて見せていた。

無論そのほかにも、豪奢な振袖姿の娘たちが皆挨拶にきて、周囲は一段と華やいでいったが、若者の身辺には京子の手厚い配慮を得て常にダイアンの姿があり、大振袖が華やかに舞うあいだでさえ、その一際長身の煌びやかな姿が群を抜いて輝きを放っていたのである。

メアリーの強硬なアドバイスも受けその化粧も多少濃い目に施し、入国時に持ち込んできていた豪華な夜会服の中でも比較的派手やかなものを選び、その上思い切り豪奢で煌びやかな装身具でその身を飾っていた。

絢爛たるドレスも特別に露出度が高いわけでは無いが、長身の背筋をピンと立て雅びさえ感じさせる身動きにつれ、それに包まれた豊かな稜線を優雅にくっきりと浮き彫りにして行く。

靴のヒールもその体格に見合った高いものを履き、国王と並び立った姿は周囲の目を欹てさせるに充分なものがあり、若者にしても、最も親しい女性が最も美しい姿で傍らにいることを意識するらしく、頻繁に視線を向けながら機嫌よく杯を重ねている。

京子とメアリーが特別鋭い視線を浴びせたモニカの方は、多くの美女たちの群の中に全く埋没してしまったかのように、いまやほとんど目立つことも無い。

敢えて獲物に近づこうとする様子も無いではなかったが、ダイアンの絢爛たる立ち姿を前にしては、今更ながら圧倒されて近寄りがたい様子であり、この点に限れば、京子とメアリーの共同作戦は見事図に当たったことにはなるのだろう。


一方で新田の気配りは、自然、自分たちが苦労して連れて来たゲストたちに対してのものに傾斜せざるを得ない。

機を捉えてはその全員を漏れなく若者に引き合わせ、その懇親を深めるよう細やかな配慮を見せており、傍らに立つ京子は京子で、その一人一人について無言のチェックを繰り返す。

京子の電子回路の中には精密極まりない考課表があり、先ほどから新たな有力データがさまざまに書き加えられて来ており、その中にはアラブ系やアフリカ系の女性たちも含め相当数の名前がある。

若者は、今も煌びやかな娘たちと笑顔で歓談しているが、この女性群の中でも一段と年かさの鮮やかな訪問着姿が、少しく京子の目を惹くようになって来ていた。

データによれば、三十歳そこそこと言っても通りそうなその女性の年齢は三十八歳とあり、今回日本から招いた女性たちの中では飛び抜けて年長だが、国井の人脈を通じて参加して来た一人であり、未婚者で名は立川みどり、現在は銀座に「クラブ碧」と言う店を持ち、引き連れて来た女たちはその従業員と友人ばかりだと言う。

色白で化粧栄えのする顔立ちとすらりとした体付きを持ち、常連客からはまだまだもてはやされる、大人の女性としての充分な華やぎを具えている。

若者は、殊にこの女性の物慣れた受け答えがひどく気に入ったらしく、その冗談に幾度も笑いを誘われながら、先ほどから軽やかなやり取りを楽しんでおり、彼女は彼女で、若者の他愛も無いジョークにも常に機敏に反応を返し、自分自身もさも楽しげな笑い声を上げながら、傍らのダイアンの顔色にも絶えず気を配っている様子だ。

若者の方にも、懸案の復興事業に一応の目鼻を付けたことによる開放感もあったのだろう、かって無いほど気楽そうに談笑し、話題についていけずに傍らで微笑んでいるダイアンに、そのジョークについての解説までしてやっており、一歩離れて観察を続けているメアリーも、若い二人の仲睦まじい光景を目の当たりにして、密かに安堵の胸を撫で下ろしていた。

メアリーにしても、これほど幸せそうに光り輝いているダイアンは、初めて見るほどのものであったのだが、京子の考課表の中でダイアンと並び立つほどの高い位置に、久我京子の名前が密かに書き込まれたことまでは、想像することも出来なかったに違いない。

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  1. 2005/11/03(木) 12:37:00|
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