日本大好きじいさんの落書き帳

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント(-)

自立国家の建設 061

 ◆ 目次ページに戻る

十一月二日二十三時三十分、内務省最上階におけるタイラーと秋元京子の会談。

「やれやれ、つかまっちゃったわね。」

結局、今回もタイラーが必死に会談を申し入れたようだ。

「申し訳ない。」

「よほどのことなんでしょ。」

「会ってもらえて心から感謝するよ。」

「日本海のことね?」

「確認をとっておきたいんだ。」

「あたしに確認とっても仕方が無いでしょうに。」

「また、そんな意地悪言うなよ。」

今まで、例え非公式なものとは言え、この女神さまの示唆に従っておいて、後悔したためしは無いのである。

「うふふ、じゃ、聞いてあげるわよ。」

「これで、あの国のKDXーⅢとLPXの建艦計画も完全にアウトになったね。」

KDXーⅢは鋭意開発中の韓国海軍初のイージス艦であり、その一番艦は三年後には実戦配備の予定だ。

また、LPXとは大型の揚陸艦のことで、有事に敵国へ攻め込む際にはその要ともなるものなのである。

挙句にそれは、我が海上自衛隊の揚陸艦「おおすみ型」に比べ倍以上の積載能力を備えるもので、これも又数年後には就役することになっていた。

タイラーは、あの国にとっていかにも分不相応なこの建艦計画も、これで実質的に進捗不能になったと言いたいのだろう。

「あのねえ、そんなこと誰も頼んじゃいないわよ。」

「でも、その分のコストを日本が負担しなくても良くなったじゃないか。」

「そんなの、日本政府はもとから出す気はないわよ。」

そうは言うが、秋津州戦争以前の世界情勢であったなら結局廻りまわって形を変えて、幾分かは出さざるを得なかっただろう。

「しかし、今までだって、いろいろ名目を変えて結局出し続けてきたじゃないか。」

イージス艦と言い大型揚陸艦と言い、いざともなれば日本に対する最大の脅威と化すものなのである。

それにも拘わらず、その支援が形を変えて行われるのも、結局は日本の政財官からの妙な圧力によるものなのだ。

「まあね。でも、これからはびた一文出さないと思うわ。」

「それと、戦時指揮権は米軍が保持したままでいいんだよな?」

平時の韓国軍の指揮権は、韓国軍自身が保持することになっているが、戦時においては在韓の国連軍司令官(米軍司令官)が、全ての指揮権を掌握してことに当たる決まりになっている。

「そんなのどっちに転んでも大した違いは無いんだから、好きにしなさいよ。」

「きっと陛下にも、喜んでいただけると思ったんだがねえ。」

タイラーとしては、このことは日本政府が望んでいることであって、ひいては秋津州国王が望むことでもあると考えていたのだ。

「世界情勢がまるっきり変わっちゃったみたいねえ。」

「うん、実感するよ。」

「陛下は、合衆国に特別なことは何も望んでらっしゃらないと思うわよ。」

「それも少し、寂しいものがあるけどなあ。」

「だって、堂々たる主権国家に向かって、ああしろこうしろと指図するなんて、それこそ失礼でしょ。」

「皮肉かよ。」

かつてワシントンが他の主権国家に対して、あれこれ口を出して来たことは紛れも無い事実なのだ。

「そうよ。」

「ひどいなあ。」

「まあ、皮肉がわかるだけ未だましかも知れないわね。」

「あ、そう言えば、対馬だけじゃ無くて尖閣にも海保の特殊部隊を配備したみたいだね。」

「・・・。」

これも、実際にはかなり広範囲に亘って配備を済ませているのだが、京子の方は、聞こえない振りだ。

「それも、例の空飛ぶ軍団を相当数・・・。」

「あら、そうなの。だったら、日本政府もやっと腰を上げたのかしら。」

実ににこやかな笑顔である。

「そこまで惚けなくても良いじゃないか。どうせ陛下と新田さん辺りの思惑通りなんだろ。」

「あのねえ、日本には東京に立派な政府があるのよ。」

「判った、判った。結局、憲法上の問題から海保に配属するしかなかったんだろ?」

今の日本の法体系では、自衛隊は直ぐには迎撃戦すら行うことが出来ない。

いざと言う場合の実効的な軍事活動と言う点では、全く身動きが取れないのである。

その点、海上警察としての海上保安庁なら、かなり身動きは自由であり、言わば警察の一部隊だけで、外敵の侵入を防ぐことが出来ればこれに越したことは無い。

無論、この場合の侵入してくる「外敵」の概念にもさまざまなものがあるが、中でももっとも頭の痛いのは密入国者たちの存在である。

過去において、かの半島で騒乱が起きるたびに、膨大な密航者が日本に押し寄せて来ているのだ。

「まあねえ、今の日本の法制度では自衛隊を機動的に運用するなんてとても無理だものねえ。直ぐに憲法違反だとか何だとか大騒ぎする人が多すぎちゃうしねえ。」

憲法だろうと何だろうと、それに縛られている内に敵に上陸を許し、国土を蹂躙されてしまえばどうにもならない。

まして、一歩間違えれば核ミサイルが飛んでくるのである。

「そうだよなあ、全部足がらみが掛かってて、いざ敵に攻め込まれても自衛隊の戦車が移動するのに一般道路は使えないわ、例え使用許可が下りても道路交通法も守らなくちゃならんし。それこそ戦車がスピード違反でパトカーに捕まって違反切符切られちゃったりとか・・。」

「私有地には一歩も入れないしねえ。こんなバカな国って他にあるのかしら。」

もたもたしている内に、全て先手を取られてしまうだろう。

攻め込んでくる敵は、こっちの都合になど合わせてはくれないのである。

「まあ、無いだろうね。言わば天然記念物みたいなものかも知れないね。」

「まるで、オウサンショウウオみたいなものかしら。」

「まあ我が国も、もう韓国に駐留する意味は無くなったことだし、駐留を続けてもこっちが自腹を切らなくちゃならんだろうし・・・。全く金食い虫だよなあ。」

「なに言ってんの、今までその分まで日本に出させてきたじゃないの。」

「そう言えば、日本もこれからは出してくれなくなるんだろうねえ。」

思いやり予算などと言うものもある。

「それは、首相官邸にでも行って聞いてみた方が良いんじゃない?」

「もう台湾海峡であろうと、何であろうと合衆国の出番は無くなっちゃったんだものなあ。」

「トムは未だ知らないだろうけど、さっきから竹島付近は大騒ぎになっちゃってるみたいよ。」

「え?」

「同士討ち、始めちゃったみたい。」

「ほう、あの民族のことだからなあ。ほんと興奮すると周りが見えなくなっちゃうらしいからなあ。」

「どうやら、最初に、民間の小船が駆逐艦にぶつかっちゃったみたいよ。」

「それを日本からの攻撃を受けたと勘違いしたんだな。きっと。」

「東島の砲台も撃ち始めちゃって、もう滅茶苦茶ね。この分じゃ全艦残弾無しって言うところまで撃ち続けるわね、きっと。」

「しかし、付近には日本の船なんて一隻もいない筈だよな。」

これも事実だ。

目の前の女神は、つと右手をあげて大振りのイヤリングをまさぐっている。

長くしなやかな指が微妙に動き、時が時だけに、悩み多きタイラーの目には、その仕草一つとっても何かしら意味ありげに見えてしまう。

現に女神は、今も重大情報を発信してくれているのである。

秋津州には例の謎の通信技術があり、今まさに、彼女がさりげなくまさぐっているイヤリングにこそ、大きなヒントが隠されていそうな予感を持ってしまったのだ。

「あらあら、東島を日本側に占領されちゃったって勘違いしてるみたい。東島の頂上はもう集中砲火を浴びちゃってるわ。」

韓国海軍は、てっきり日本の海上自衛隊と戦っているつもりなのだろう。

「ほう、そこまで判るのか。」

「あらまあ、折角作った船着き場も壊しちゃったみたいよ。」

「その辺の海域一帯が、きっと着弾で沸き立っちゃってるんだろうな。」

「各艦とも、ずいぶん被弾してるみたいだわ。」

「もう、大分沈んだか?」

「沈まなくとも、ほとんど使い物にならないわね。浮かぶスクラップとおんなじで結局自沈させるしかないでしょうね。」

「ほう。韓国海軍は全滅か。」

「でも第二艦隊は、現場に来てないから無傷でしょ。」

韓国第二艦隊は、半島を挟んで反対側の京畿道を基地としているため、この珍妙な「日本海海戦」には参加していないと言う。

「じゃ、残った第二艦隊は貴重だな。」

「少なくとも、現場海域に出て来た軍艦の半分は沈んじゃったようね。」

「半分くらいは残りそうか?」

「残ったのも、もうスクラップで修理不能だと思うわ。」

「周辺の漁業被害はどうなんだろ。」

この海域一帯は、良質な漁業資源の宝庫でもある。

「大分、汚しちゃったみたいね。」

「あとの大掃除をやるつもりかい?」

「場合によってはね。」

日本の国益に適うようなら、秋津州の大掃除部隊の出動も充分有り得ると言う意味だろう。

「しかし、哀れなものだな。まんまと日本に一杯食わされたと言うわけか。」

「あら、人聞きの悪いこと言わないでよ。騒いだのは日本のマスコミだけよ。当局は何も悪いことなんてしてないもの。」

確かに、秋津州王妃がその「私兵」を率いて竹島に上陸を敢行することによって、日本海で大規模な武力衝突が起こると言って騒いだのは、ほかならぬマスコミであった。

それも、大声で世界中に向かって喚き散らしたのである。

大体そのマスコミが、隣国がイージス艦や大型揚陸艦を建造中である「事実」などには、触れようともしないことこそ奇妙なのだ。

あの国での反日デモなど、百万回行われたとしても大した実害は無いが、最新のイージス艦や大型の揚陸艦の建造などは、それこそ我が日本に直接実害を及ぼすモノであるにも拘わらずだ。

それどころか、日本が半島側に支援を行うことがさも当然だと言う様な、まことに奇妙な論説を掲げる新聞まであるのだ。

自国に対して反感をむき出しにして軍備を拡張中の隣国に経済支援を続ける国など、古来聞いたことも見たことも無い。

「あははっ、日本政府も変身したもんだなあ。」

日本も、やっと国際的な謀略戦を主体的に闘えるような、ごく普通の国家に立ち戻ることが出来たと言っているようだ。

「でも、トンキン湾の茶番劇ほどじゃないわよ。」

トンキン湾はベトナム戦争に絡んで、かって米国が演じた一大謀略の舞台であり、北爆開始の理由付けとして急遽捏造されたものであったことが、今では世界中に鳴り響いてしまっている。

「まあ、韓国は今まで日本のマスコミのお陰で、さんざん美味しい思いをしてきたからなあ。」

タイラーとしては「トンキン湾」には触れたくも無い。

「普通の国のマスコミだったら、自国の安全保障に関わる重大問題は絶好のネタになるのにね。」

「あははは、普通の国ならな。」

やはり、タイラーの目から見ても日本は普通の国では無いのだろう。

「自分の国の安全保障上の重大情報に目隠ししておいて、逆に、韓流ブームを必死になって煽ってるくらいですものねえ。」

「公共放送の安っぽい韓国ドラマを、民放が揃って宣伝して盛り上げようとしてるよなあ。」

「ほんと、みんなヘンだと思わないのかしら。」

だいたい、NHKのドラマを民放が大々的に宣伝するなど、もうそれだけで異常なことであり、その異常さを感じない「日本人」は余程鈍い人だと言うほかは無い。

「それだけ、あちらさんは日本からのカネが欲しいんだろ。」

日本の国民感情を少しでも韓国寄りに操作することによって、韓国への拠出計画を進め易くしたい勢力が存在することは、もう歴然たる事実であろう。

拠出と言ってもその方式は、単純なものとは限らない。

日本国民の目からは、それと気付きにくい物が多いのだ。

「この様子じゃ、北部朝鮮から請求されてる五百億ドルなんて払えるのかしらねえ。」

「そんなの、無理に決まってるだろ。」

「そう言えば、秋津州からの借款もとっくに償還期限が過ぎちゃってるわよねえ。」

こっちも五百億ドルだ。

「いや、あの国では、大和民族からなら、いくらむしりとっても良いと思ってるんだよ。」

秋津州人も、れっきとした大和民族と言うことになっている。

「じゃ、まだむしり取るつもりでいるのかしら。」

相変わらず京子は笑みを絶やさない。

それこそ、なにもかも判った上で言っているに違いない。

「うん、全部、一切合財取り上げるまでは請求をやめないと思うよ。」

「しかし、わたしたち普通の日本人は、世の中にそんなヘンな人がいるとは思わないものねえ。ごく普通の日本人は、そんな物乞いみたいなことをするのは恥だと思ってますからね。」

「いや、普通、物乞いなら、恵んでもらったら礼ぐらい言うだろ。」

「判った。一旦恵んでもらったら、未だ足りないから、もっとよこせって言うヘンな物乞いなのね。」

「だから、物乞いの方が金持ちになるまで、よこせって言い続けるんだろ。」

「そう言うずうずうしい物乞いには、もう恵んでやらないことにするでしょ。さすがの日本も。」

「もう、とっくの昔に強請りタカリになっちゃってるから、その理由の正当性を、必死になって捏ね上げなくちゃならなくなっちゃってるんだな。」

「しかし、いくらなんでも無理があり過ぎるわ。」

「うん、だからあの国は、もう駐留米軍のコスト負担どころじゃないしな。」

「あらあら、それでさっき自腹だって言ってたのね。」

「ぷっ、何もかも判ってるくせに。」

「あ、いま、ソウルと東京で国交断絶の公文書が出たみたいよ。」

無論、韓国側から日本に対する断交である。

「ほう、いよいよ青瓦台は狂ったか。当然次に来るのは宣戦布告なんだろな。あはははは。」

タイラーは、大口を開けて哄笑している。

「おほほほ。これで宣戦布告までしちゃったら、それこそ世界中のもの笑いでしょ。」

「どうせ、これだって京子たちの想定内の成り行きだったんだろう?」

「いえいえ、ここまでやってくれるとは思わなかったわ。」

もともと、日本から見た韓国は極貧の一小国に過ぎなかったのである。

本来、大して意識するほどの対象では無かったのだが、韓国から見た日本と言う隣国は、信じ難いほどの経済発展を遂げた「大いなる妬みの対象」であり続けて来た。

両国関係を端折って言えば、常に韓国側が意識過剰であったために、これほどまでに子供じみた反応をしてしまうのだろう。

最早、治安は失われ、挙句に実効的統治まで危うい。

夜が明ければ、その金融システムも満足に機能していないことが明らかになってしまうだろう。

「しかし、断末魔のあがきだな。戦時予算も組めずにどう闘うつもりなんだろ。」

「戦争」と言う外交活動をするためには、途方も無いカネがかかるのだ。

「きっと、戦時国債でも発行するつもりなんでしょ。」

「あははははっ、それも日本に買えって言うのかな。」

日本と闘うための戦費を調達するための国債なのである。

まさか、それを買う「敵国」はあるまい。

「おほほほ、あの国ならそれも有りなのかも知れないわね。」

既に、通常の決済能力すら失いつつあるような国家の国債を買ってくれる相手など、いる筈が無いことだけは子供にでも判るだろう。


余談だが、百年前の我が国もこの戦時国債の発行に絡んで、非常な苦境に立たされたことがある。

唐突ではあるが、はるかに遡って見れば、往時の朝鮮半島は少なくとも数百年の永きに亘りシナの属国であった。

しかも、属国であった時代のその又末期にあたり、清国は半島において日本の勢力が伸張することを嫌い、それまで季氏朝鮮に許していた僅かな自治権まで剥奪するに至った。

清国側が軍を駐屯させ朝鮮国王の実父まで拉致して幽閉するに至り、結局李氏宮廷の持つ施政権を全てに亘って壟断してしまったのである。

朝鮮がそれまで僅かに保っていた国家としての主体性は失われ、その国は実質的に滅んでしまったと言って良い。

その結果、日本が朝鮮と結んでいた約束事(條約)などは、清国側の意向によって蹂躙されてしまい、大きく損害を蒙った日本はその状況を打破すべく決然として日清戦争を戦った。

日本はその戦いに圧倒的な勝利を収め、降伏した清国に対し、その第一義として「朝鮮の独立」を認めさせ、それによって清国政府からの容喙を排除しようとしたのである。

日清講和条約の第一条に言う。

「清国は、朝鮮半島から撤退し、朝鮮国の完全無欠なる独立自主の国たることを認め、清国に対する貢献・典礼等は将来全て廃止する。」

日本側は、わざわざ「戦利品」の第一として、「朝鮮の独立」を敗者である清国側に要求して、それを認めさせていることになる。

無論、当時の日本が人道的な見地から、「朝鮮の独立」を望んだので無いことだけは明らかだ。

我が国が北方から受けつつある巨大な脅威に対抗し、それを凌いで行くための防波堤、若しくは大陸進出のための橋頭堡としての見地からそれを望んだことは確かだろう。

詰まり、朝鮮のためだけで無く、日本国の存続のためにも「朝鮮の自立」を強く望んだことは間違いない。

朝鮮が自立した『普通の国家』でありさえすれば、他国(主としてロシアと清国)からの侵略を自力で排除する努力をなすあらんことを、日本側が期待したことだけは確かなのだ。

そのためにこそ、日本はあれほど膨大な犠牲を払いつつも、朝鮮を清国の属国たる身分から「開放」させたのである。

しかるに、当の朝鮮は当初のうちこそ親日的な素振りも見せていたが、いわゆる「三国干渉」によって、日本がロシアの恫喝の前に屈服する姿を見るに及んで、今度はロシアの実質的な属邦となる道を自ら選び、その結果、半島の各地にロシアの軍事拠点が築かれることとなった。

そして遂には、朝鮮半島の最南端にまでロシアの拠点が出現する運びとなり、とうにロシア領となっていた満州を通過点として、ロシアの兵站輸送網が開通直前と言う、日本にとって悲痛極まりない事態を招くに至ったのである。

現代とは違う。

当時の超大国ロシアは既に実力で満州を奪い、かつ朝鮮をもその支配下におこうとしているにも拘わらず、それを実力で押し留める者など何処にもいないのだ。

当時の日本人の慄然たる想いは、それこそ涙なしには語ることが出来ない。

黙って大人しくしていても、朝鮮と同様に、早晩あの大ロシアに併呑されてしまうのである。

最早、当時の日本には「満州や朝鮮と同じ道」を選ぶか、決然立って「死中に活を」見出すか、ほかの選択肢は残されていなかったことになる。

しかるに、小国日本には決然立つにあたっても、当然ながら戦費が無かった。

開戦すれば、その資金面からだけでも、即座に行き詰まってしまうことが目に見えていたのである。

このときの対露戦遂行のために、日本政府が発行しようとした「戦時国債」の運命こそ、悲痛そのものであった。

そもそも、世界のマーケットで買い手が付かない。

弱小の日本の発行する国債など買ってみたところで、どうせ直ぐに紙屑になるだけだと思われたからだ。

買う馬鹿はいないであろう。

もともと当時の世界からは、この日露両国の衝突の結果、その勝者が日本になるなど予想だにされなかったためだ。

それほどまでに双方の国力の差が懸絶してしまっていたのである。

結局、ロシア領内で同胞が迫害を受け続けていたユダヤ系財閥などが、紙屑になるのを覚悟の上でこの募集に応えてくれたことは、世にも希なる僥倖だったと言えるだろう。

例え負けるにしても、日本が少しでも長く抵抗してくれれば、その分だけ帝政ロシアの権力基盤が弱体化して、せめてその間だけでもロシア国内にいる同胞たちが一息付けるのではないかと考えてくれた結果であったと言うが、いずれにしても、「カネが無ければ戦争など出来ない。」のだ。

なお、日露戦争に辛うじて勝利した当時の日本が、戦利品として多少の権益を得たことに、露ほどの矛盾も無かったであろう。

矛盾どころか、当時の国際法の概念から言えば、当然過ぎるほど当然のことだったのだ。

また、この「戦利品」の中には、満州や朝鮮に関する権益が含まれていたのだが、当時の国内にはさまざまな意見があり、殊に「朝鮮は単なる満州への通過点として扱うべし」と言うのが主要なものであったとも言われる。

当時の朝鮮が財政的にも明らかに「破綻していた」からであり、破綻してしまっている朝鮮を「経営」しようとすれば、当然その債務をも背負わなければならなくなる上、その他にも膨大な資金を必要とすることも目に見えていたからだ。

にも拘らず、結局は朝鮮を併合してしまい、案の定膨大な資金を終始半島に注ぎ込まざるを得なくなったのは周知の事実だ。

なお、筆者は「日韓併合条約」の御名御璽入りの毛筆書きの原文をある公のサイト(*)で見たが、日本政府はこの種の公文書を堂々と一般に公開している。

(*)筆者注「国立公文書館アジア歴史資料センターhttp://www.jacar.go.jp/」、少なくとも二千五年十一月の時点では無料で閲覧が可能でした。

上記のサイトで、「御署名原本・明治四十三年・条約第四号・韓国併合ニ関スル条約」で検索が可能であり、当然のことながら、当時の韓国の内閣総理大臣閣下の肉筆の署名も見ることが出来る。

詰まり、当時の両国政府が「併合」と言う行為を納得ずくで「契約」してしまっており、それをあとになってからとやかく言ってみたところで何も始まらないのである。

しかも、この行為は当時の国際法に照らしても何等の瑕疵も見当たらず、その通告を受けた諸外国も一様に合法と認めたほど完璧なものとされており、かくしてそれ以後の半島全土は日本領となったのだ。

 ◆ 目次ページに戻る
スポンサーサイト


  1. 2005/11/06(日) 01:43:56|
  2. 妄想小説 主権国家|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0
<<自立国家の建設 060 | ホーム | 自立国家の建設 062>>

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://unclejim.blog4.fc2.com/tb.php/415-9fa0c035
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。