日本大好きじいさんの落書き帳

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自立国家の建設 170

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「田中の言うことにゃ、秋桜海の深いところじゃテストまで済ませたって話だ。」

無論珊瑚の繁殖能力に関する実地テストのことなのだが、深海でのそれに関してもとうに確認済みであるらしい。

「じゃ、深いところなんか、もう相当浅くなっちゃってるわけか。」

「いや、未だそこまでは行ってねえ。正式にゴーサインが出てから、ひっそりと始めるんだとさ。」

全てが日本国のために企図されていることである以上、この場合のゴーサインには国井総理の裏判が不可欠なのである。

「へええ。」

「始まったら早いぜえ。」

膨大なアンコウが一気に投入され、例の天狗珊瑚が無限に増殖してくれる筈であり、その天辺(てっぺん)が海面に到達するまでに一月(ひとつき)と掛からない筈なのだ。

「そうなの。」

「そいでもって、水深五十メートルほどのところで一旦ストップだ。」

アンコウに給餌作業を休止させることになる。

「え、なんで。」

「日秋両国が非常事態宣言を発して秋桜海全域から避難命令を出すのさ。」

そのときは、秋桜海の深度は全域にわたって五十メートルを超えることはないのである。

「秋桜海全部が危険海域になっちゃうのね。」

「だから、その領域内は港湾だろうが公海だろうが全力を挙げて船の排除を行うことになる。」

全ての船の脱出には普通なら三十六時間は見ておく必要があると聞くが、その手助けのために秋津州の特殊部隊が大活躍をしてくれる筈だ。

「そっかあ。そのあとで防波堤を築くことになるのよね。」

外洋からの進入を物理的に阻むためでもあるのだが、その構築に要する時間にしても概ね二時間程度と聞いており、いずれにしても恐るべきスピードだと言うほかはない。

「ご名答。」

「それで海ん中の仕事が再開されるわけか。」

日本政府としては、原加盟国としてIMO(国際海事機関)にも通告をすべきだろうが、通告を受けたからと言って彼等(IMO)が何ごとかを成せると言うわけではない。

何せ・・・

「そのあとは、もう半日も掛からんだろう。」

なのである。

IMOの連中など、僅かな情報を元にして対策会議を開いてるうちにことが終わってしまっているに違いない。

「あっと言う間に石灰岩の陸地が出来上がっちゃうのかあ。」

「予定通りに行きゃあな。」

「あっ、そうだ。」

「んっ。」

「予定通りに行った場合だけど、一時的ではあっても秋桜海の水位は上がっちゃうわけよね。」

「うん、今んところ三メートルほどの上昇を見込んでるようだが、それも最後の五分か十分で済むって話だ。」

「沿岸の蒙る水害の方はどうなの。」

「いい質問でげすな、奥さま。」

「沿岸や川沿いに冠水しちゃうところが出ちゃうんじゃないの。」

「結論から申しますと、その心配はございません。何せ、該当する領域に海抜六メートル未満の低地は、一般の海浜と港湾の海沿いぐらいにしか存在しませんから。」

「あらま、地球時代のゼロメートル地帯なんて無いんだ。」

「まあ、はっきり言えば同じ港湾でも、低めの岸壁とか桟橋なんかが僅かに水をかぶる程度で、一般の私有地で冠水するケースは無いと言う前提だ。」

「へええ、そうなんだ。」

「第一、港湾も何も、海が全部陸地になっちゃうんだからな。」

「港湾の岸壁の上も桟橋の上も全部珊瑚がびっしりなのね。」

「低いところはな。」

「じゃ、一部なんだ。」

「海水浴場の砂浜だって全部そうなる。」

「あっちゃあ。」

「ゼロメートル地帯の件にしたってだなあ、地球時代の東京なんて相当部分が江戸時代以降に無理矢理埋め立てた場所ばっかりだから、必然的に広い範囲が低地になっちゃってたが、今の敷島の場合そう言う場所ははじめっから無いんだ。」

「そうだったんだあ。」

「それに、各河川の中流にゃ、でっかい用水池がいっぱい出来てるから、最終段階になったらそこから猛烈な勢いで吸い上げた水を、例のSDがばんばん運び出してくれらあ。」

但し、河川の逆流現象が起きてしまうことまでは避けられまい。

「じゃ、川の増水は相当緩和されるのね。」

「上流で大雨が降って、増水しそうな場合なんかも柔軟に対応出来るしな。」

「潮の干満なんかどうすんのよ。」

「そんなの最初っから織り込み済みに決まってるだろうが。」

「へええ・・・。それは判ったけど、漁港と漁場を失う漁業関係の人たちはどうするつもりよ。」

日本の東海岸の港湾は全て消滅し、少なくとも、その沿岸漁業に関しては壊滅してしまうのである。

「うん、そのあたりが一番の問題だ。」

「ちゃんと手当て出来るんでしょうね。」

「あのなあ、俺が日本の漁協と特別のパイプを持ってることを忘れちゃいませんかてんだ。」

「あ、今まで、秋津州沿岸の漁獲割り当てで・・・・。」

その漁獲割り当てに際して、日本の漁協に格別の配慮を加え続けて来たのは誰あろうこの俺なのだ。

「そうだ、それだよ。漁協との付き合いには相当深いものがあると考えてくれよ。だから充分話し合いが出来る素地があるし、新たな漁港や漁場についても彼等が泣くような対応なんか絶対しないよ。長期的には反って喜んでもらえるほどの対応まで考えてるんだから。」

「ほんとに、だいじょぶなの。」

「公式にはあくまで自然災害で、それも文句無しの激甚指定になる筈だから、公的補償も大威張りで出せるようにするし、何と言っても肝心の敷島特会が爆発的に潤うんだ。」

「あ、日本はもの凄い規模の官有地を手にすることになるのよね。しかも最終的には豊富な地下資源まで・・・。」

「膨大な地下資源だって話だ。」

オイルや鉄鉱石は勿論、その他もろもろの地下資源が眠ってる筈だが、やがてその全てが敷島特会の貴重な財源と化す筈だ。

「しかも、広大な官有地が・・・。」

手に入るのである。

「うん、当初は西側の半分だけだが、ゆくゆくは全部日本領にしちゃうつもりだから、相当広い官有地だ。」

「もの凄い面積になるわね。」

「その官有地のインフラ整備は無償で秋津州が引き受けるし、基本的なインフラの建設なんか、前以て設計図を描いとくことだって出来るんだから、最終的な据え付け作業が済みさえすれば、そのあとはもうあっという間だろうさ。」

「最終的な据え付け作業って・・・。」

「だから、山も川もある緑の大地に総どっかえしちゃう話を言ってるのさ、」

「その場合、山林や河川の管理一つとっても相当なものになっちゃうわよね。」

「だいじょぶ。」

「あ、それも陛下が・・・。」

「あははは・・・。」

「でも防波堤のセットのときって、考えただけでタイヘンそう。」

「誰がよ。」

「被災者のほうよ。」

「確かにな。でも漁船にしても商船にしても完璧に避難させて見せるさ。日本側から特別の資格を付与された水先案内人だけでも二万人以上用意するんだから、只の一隻も座礁事故なんか起こさせやしねえし、万一取り残されちゃった船が出ても全部空中を運んでやれるしさ。」

「船の繋留地の手当てはどうするつもり。」

当該領域から排除される船舶は、小型のものも含めれば万を越えることになるだろう。

「海軍や海保の艦船用には南北の防波堤の外側に臨時の港湾基地を複数用意しとくし、無論民間船の分も充分だ。巨大タンカーまで繋留可能なものを用意するつもりだし、航行の続行を望む船は当然そのまま外洋を航行させる。」

「へええ・・・。」

「第一、防波堤のセットは非常事態宣言が出てからになるんだから、その時点では秋桜海は全部航行不能の危険水域になっちゃったって知れ渡ってるんだし、ぎりぎりになってから慌てふためくようなケースなんて先ず起こらねえ筈だ。」

「あ、防波堤が出来ちゃってからじゃ、外洋に出ることすら出来なくなっちゃうんだから、漁船の船主や乗組員で避難命令に興味の無い人なんて一人もいない筈だわね。」

「その後、公式に激甚指定がなされた直後に、各漁協と打ち合わせに入るつもりさ。」

「そこまで考えてるのね。」

「何せ、陛下が折角用意してくれたんだからな。」

膨大な資材をである。

「そっか・・・。」

「ま、漁民は勿論、それ以外でも住居を引き払って移住を希望するケースも出るだろうが、不動産がこの騒ぎで値下がりしちゃってても、以前の高値レンジで買い取ることになるな。」

「すごい補償額になっちゃうわね。」

「漁船だってローンの都合やなんかで一旦手放して清算したい人も出るだろうけど、新品扱いで買い取る方針だし、漁業補償なんか最低でも五年分はみとくつもりだから、ざっと十兆(日本円)ぐらいの予算でいるんだとさ。」

田中の試算である。

「へええ・・・・。」

「尤も、その予算だって九割以上は公金じゃあねえ。」

「え・・・。」

「秋津州財団から非課税で拠出されるんだとよ。」

これも、田中の腹案から出たことなのである。

「なんで。」

「本来の評価基準から見たら十倍以上の補償をしてやるからさ。」

「じゃ、焼け太りになっちゃう人がいっぱい出ちゃうじゃない。」

「だから、全部公金で補償してたら、ブーイングが出ちゃうだろがあ。」

「あ、それで秋津州財団が出て来るのか。」

「日本人に取っちゃ、その分は公金じゃねえからな。」

尤も、秋津州側から見れば公金でないこともない。

「それで結局十倍補償・・・。」

「そう言うこった。」

「あらあら、そんなにもらえれば反って大喜びしちゃうケースも出るわよね。」

「それに、昔っからそこに住んでた人間なんて一人もいねえんだ。」

全て地球から移住して間が無い人間ばかりなのである。

「そっか、未だ地域にあんまり愛着が湧いてない時期だわよねえ。」

「だから、やるなら早い方がいいんだ。」

「あっ、そ。」

「田中がそう言ってるんだからしょうがあるめえ。」

「ふうん・・・。」

「しかも、その名もずばりのオレンジプランだってんだから、岡部なんざそのネーミングを聞いただけで躍り上がって大喜びだわ。」

「人のことより、あんたはどうなのよ。」

「俺だって悪い気はしねえよ。考えてみただけでも、わくわくして来るくれえだ。」

「何考えてるのよ、正直に仰いよ。」

「いや、話した通りだよ。食糧安保の観点から国際競争力のある農業を目指してるだけさ。」

仮に、全世界から孤立してしまっても困らないだけの食料生産能力を確保しておきたいのである。

「うそよ。二人のルーズベルトに散々手玉に取られた分、そっくりお返ししてやろうってハラなんでしょ。」

きっと、従兄弟同士の大統領、セオドア・ルーズベルト(第二十六代)とフランクリン・ルーズベルト(第三十二代)のことを言ってるつもりなのだろう。

「いや、敵さんが日本にやってくれたようなひでえことなんか絶対やらないよ。ちっとばかりワシントンに礼儀作法ってもんを教えてやりたいだけなんだから。」

「それが本音なのね。」

「悪いか。」

「まったく、子供みたい。」

「なんとでも言ってくれ。」

「みどりママが聞いたら確実に潰れるわね、オレンジプラン。」

「なんだと。」

「戦争になっちゃうかも知れないって言えば一発よ。」

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  1. 2009/04/01(水) 09:37:01|
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