日本大好きじいさんの落書き帳

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント(-)

自立国家の建設 119

 ◆ 目次ページに戻る

年が革まり二千十一年の春を迎えながら相変わらず新田にはことの多い日が続き、近頃では眠れぬ夜を過ごすことさえあり、七ヶ国会議にまで影響力を持ってしまった今、世界の舵取りの一端まで担わされている感が深いのだが、無論そんな大それたことを独力でやれるわけも無く、その殆どがあの若者の力に負うところが大きい。

実際どんな優れものの方策を策定しようにも、それが世界的な広がりを持つほどのものである以上、実現するためには途方も無いパワーを持つ必要があり、その多くがあの若者にしか持ち得ないものばかりだ。

現にこの星の穀物生産量を言えば、その絶対量は未だ全需要の五分の一程度でしか無いとされており、自然膨大な不足が生じてしまうのだが、それすらも若者の手で補われているのが実情であり、大汗をかきながらその作業を行い続けているのである。

自然地上や天空に膨大な備蓄施設を持つが、人類がそれなりの農業技術を既に持つ以上程なく飛躍的な増産に至るとされ、そうなれば若者の備蓄施設の多くが不用になるとする向きが多く、若者の投下した巨大投資は永遠に回収不能だろうと囁かれるに至っており、中でも天空の設備には特段のコストを要する以上現在の出荷価格を見る限り絶対にペイしないとして、ご丁寧にも若者が破産してしまうと言い騒いでくれる者まで出るほどだが、実際にはその超絶的なパワーが、無限に近い資源と相俟って信じ難いほどのコストダウンを可能にしてしまうのである。

典型的な例がその軍事面において顕著であり、天空はおろか月にまで軍事拠点を持つ以上今更地上のものなど無用の長物でしかないのだが、実際には遠く離れた離島などは目を付けるバカが出て来ないとも言い切れず、そう言う輩から無防備と看做されぬよう、ことさらに飾り立てて見せているが、防備すべき国土が抜きん出て広大であるだけに、壮大な軍備の一端がいよいよあらわになって当然であり、首都圏の総司令部は勿論、任那でも東部方面軍の基地が数多く登場して来ており、西南方面軍の場合などは新垣島(秋桜)と赤道の中間辺りに位置し、両の極地を除けば紛れも無く領土の西南端である以上、そこに防衛拠点を置くことは軍事上の常識と言うべきだろう。

何せその現地たるや、新垣島の南端から点々たる群島によって結ばれているとは言いながら、四海茫々たる波間に二つの陸塊がまるで双子のように並び立ち、その間を五百メートルほどの砂州が繋いでおり、見ようによっては一つの島だと言えなくも無いのだが、二島併せて三万平方キロもの面積を誇る以上、少なくとも片々たる小島でないことだけは確かであり、聞けば西南側の島を羅刹島(らせつじま)、その北東側に浮かぶ島を鬼界ヶ島(きかいがしま)と呼びならわしていると言い、そのいずれもが比較的温暖な気候と起伏に富んだ地形を持ち、山地率六十パーセントほどの山間部では年間二千ミリに達する降雨量があるとされ、自然豊かな水系がふんだんの恵みを与えてくれて緑に溢れていると聞くのである。

殊に羅刹島では、中央付近に横たわる山塊の中に標高二千メートルもの羅刹山(らせつやま)が一際美しい山容を見せていると言い、中腹付近には数多くの湖まで具え、多くの河川が平野部の隅々まで潤してくれており、現に五十万ほどの原住民が黙々と農事や漁労に勤しむ姿が見受けられ、無論各地に多数の若衆宿があると言う。

既に道路や港湾はおろか空港まで整備され、衛星や海底ケーブルによる通信網も確立している上、各地に灯台が建ち、大和商事の高層ビルや店舗は勿論、一の荘と称される地には地方政庁らしき堂々たる近代建築まで聳え立ち、その後方の丘に鎮座する秋津州神社が砂州で繋がった鬼界ヶ島のものまで統括していると言うが、その砂州は満潮時には多くが波に洗われてしまうため、全ては潮の干満に拠らざるを得ないとは言え、最短距離を一直線に伸びて両島間の往来を可能にしており、羅刹祭りと称する大祭の折りなどはそこを神輿(みこし)が往来して祭りを盛り上げるらしいのだ。

まあ祭りのことはさておき、注目すべきは砂州で繋がれた鬼界ヶ島の方であり、何と、その島に国防軍の一個大隊が衛戍していると言うのだから驚きだ。

何しろ秋津州の一個大隊と言えばもうそれだけで千七百万と言う大兵力であり、この一事を以てしても鬼界ヶ島基地(西南方面軍)が途轍もない規模を誇っていることは確かで、言わば国家としての要塞指定が下されたかのような雰囲気に満ちていると報じられているのである。

島の中央部には白雪皚々たる山塊が連なり、若者はその中腹をくり抜いて壮大な地下施設まで造ってしまったと言うのだから、無論多くの自然を破壊し、至るところに膨大な鉄やベイトンが投入された筈で、一部には山容そのものが変わってしまったものまであると言い、地中深く建造された基地に至っては図面を見ただけでも信じ難いほどの規模であり、地下フロアが多数の上下層に分かれていることは勿論、そのそれぞれが水平方向にも驚くべき広がりを見せ、各方向に縦横無尽に伸びる回廊があり、その地下構造だけでも数十万が暮らせるほどの設えがあると聞く。

無論地表にも随所に巨大な軍事施設があり、秋津州軍にとっては全て無用の長物ではあるにせよ、長大な滑走路はおろか重厚な軍港や巨大アンテナまで備わり、全島が一大要塞と化してるところにもって来て、そこにNATO軍のお歴々が招かれ、地上の設備はおろか壮大な地下施設まで検分して行ったこともあって、その存在は今では知らぬ者が無いほどであり、少なくとも今後その領域を無防備と看做すバカは出て来ないだろう。

一事が万事で若者の発揮するパワーはいちいち壮大なものと言うほかはないが、反面その財政運営が極めて厳しい状況にあることも耳にしており、この正月に囲んだ掘り炬燵においても、秋津州財政は大幅な赤字続きで、その全てを若者が無制限に補填していると言うのだ。

思えば若者一人の私物国家である以上、その点当たり前と言ってしまえばそれまでだが、それにしてはあまりに大規模な国家形態が眼前にあるのである。

本来これほどまでに巨大な規模にする必要など更々無い筈なのだが、わざわざ五億に垂んとするヒューマノイド国民まで配備して、大規模な経済活動を演じさせている上、あろうことかその財源の多くが若者の私財だ。

大和商事絡みの壮大な商いにしても、如何に装いを凝らそうとも所詮若者の個人ビジネスに過ぎない以上、その利益をひたすら懐に入れ続けていても苦情一つ出るわけではないのである。

そうであるにもかかわらず、それでも敢えてそうしないのは、偏に丹波世界の経済復興を願ってのことであり、そのことのために、日々膨大な私財をマーケットに擲ち続けていることだけは確かだろう。

実際、生まれたての赤子のような丹波経済の現状を見るにつけ、秋津州が早期に破綻してしまえば、世界経済ばかりか日本の将来も何もかも吹っ飛んでしまう筈で、その舵取りは容易なものではないが、その多くを握っている自分にとって、国王と言う最高のパートナーを持つとは言いながら、日々が苦難の連続だと言って良い上に、目下別の悩みまで生じてしまっており、岡部とも相談したが今以て結論を出せない有様だ。

実は、例の秋桜(新垣の郷)の一件なのだ。

その島は今も昔も陛下の直轄領に変わりは無いが、例の大騒動に際して日本の存続に利するために拝借したものであって、避難移住に関する作業が一段落しつつある今、既にその役割を終えたと見るべきなのだが、陛下は未だに「秋桜国の建国」を念頭においておられるらしく、その資金面に関しても膨大な拠出まで頂戴している一方、その資金自体日本の財政不均衡と言う弱点をカバーする方向で使いたい思いを抱いており、陛下のお心が判るだけに余計心苦しい日々を送らざるを得ない。

先年リベラル連合政権から逐われた当座は、何を言おうと耳を貸そうともしない官邸に絶望のあまり秋桜国の樹立を夢想したことは事実だが、その後新領土の確保に難渋し、しかも時間切れを恐れていたこともあり、全ての日本人がその島に定住する前提だったのだ。

だが、結果として日本が敷島と言う新領土を確保して、早々と移住環境の構築に成功したことによりその可能性も完全消滅し、新国家建設の大事業に共に邁進すべき「国民」そのものが存在しないことになったのであり、そうである以上建国もへったくれもないのである。

その場合の新国家は六十万平方キロもの官有地を持つとは言うが、敷島特会のひそみに倣おうにも、地価などと言うものはガバナンスと殷賑の程度に左右されるものであり、主な借り手である外資や外国人の腰が引けてしまえば一瞬で暴落してしまうに違いない。

尤も、その地下に眠る膨大な鉱物資源のことを思えば、日本の石油事業者を引っ張り込んで油田を開発し、溢れるほどのオイルマネーを握って君臨しようとすれば出来ないこともなかろうが、「国民」が新田岡部の両家だけとあっては所詮それも短期間のことに過ぎまい。

勇んで独立宣言を発して見たところで、磐石の支持母体として忠良無比のヒューマノイド国民を持たない限り、お雇い外国人ばかりの省庁を率いて国際社会の荒波を凌いで行かざるを得ず、真の意味の独立を図れば当然若者の支援も当てに出来ないこととなり、いずれ国家自体を外国人たちにのっとられた挙句、命まで失ってしまうくらいが関の山だろうから、公益を私した大奸として悪名を千載(せんざい)に残すことにもなりかねないのである。

第一岡部と夢見た最終目的は日本の独立性の保持にこそあったのであり、その意味では現在のポジションのままの方が、はるかに強力なバーゲニングパワーを発揮し得るのである。

無理を重ねて独立して見たところで得るものは少ない上に、若者の支援抜きでは現在のような個人消費の高まりなど夢の又夢であり、少なくとも当初の数年間は膨大な財政赤字を出してしまうだろうし、かと言って、安易に増税などしようものなら、殆どの外資がたちまち逃げ散ってしまい、折角育ちつつある産業に壊滅的なダメージを与えてしまう。

何せ、彼らにとって最大の魅力は、その地のタックス・ヘイブンと言う制度にこそあるのであり、そもそもこの異常な政策自体自分の献策に端を発したものであり、経済の活性化を目指す上であくまで暫定かつ例外的な非常措置である以上、既に発生しつつある日秋間の貿易上の不均衡を思えば、遅かれ早かれ正常化させる日が訪れることは避けられまい。

問題はその新税制の内容と実施時期であり、新世界の経済復興のタイミングを見定めねばならず、相葉副長官はもとより、秋桜エリア全体が知恵を絞っているところではあるが、実に頭の痛い案件なのである。

尤も、頭痛の種はほかにもある。

東京の秋元女史とみどりママからの口撃(こうげき)がうるさくてかなわんのだ。

時には、あのダイアンやキャサリンまでが口を入れて来る。

無論、若者が妻帯する気になるようその環境作りを要請して来るのだが、しかしそれは本来極めて個人的な事柄に属するものなのである。

第一、あの愛すべき若者は今年の夏には二十六歳の誕生日を迎えようとしており、最早己れの色事に他人の手を借りるような年では無い上に、下手に干渉しようものなら反って逆効果になることもあり得ると思うのだが、それがオンナどもには判らないらしい。

日本のメディアが好んで側室と呼びたがる少女たちが日々美しさを増しつつあると言うのに、未だにその部屋を訪う気配が無いと言って、最近では妻の菜穂子までがそのことを言い騒ぐのだ。

妻の場合、王家の持つ特殊な搬送能力の重要性を認識していることもあろうが、とにかく若く凛々しい国王陛下の婚姻問題が余程気に掛かるらしく、鬼より怖いみどりママは勿論、秋元女史やダイアンとも頻繁に連絡を取り合ってる気配まであり、折角の夕食時などに、もっと積極的な対応策を採るべしと力説して已まない上、しまいにはこっちの取り組み方が甘いと言っては非難の声を浴びせる。

あんまりうるさいから、「未だ二十五じゃないか。」とつい口が滑ってしまったのだが、案の定次の日にはオンナどもから総攻撃を喰らう始末で、益々田中盛重に重荷を負わさざるを得ない。

尤も、田中にとっては重荷どころか、そのことに張り合いさえ感じてる気配まであるが、如何に意気込んで尻を叩こうにも、それでどうにかなるものでも無いだろう。

少なくとも、田中がことあるごとに「活動」していることを声高に吹聴(ふいちょう)して廻るのも、オンナどもの手前あってのことに違いないのだ。

その口振りから言っても、近頃の「側室」たちは必ず就寝前のキスを求め、陛下の方も気軽に応じてらっしゃると聞いており、陛下の底抜けの寛容にくるまれて、いずれも伸び伸びと暮らしてることだけは確かだろうし、葉月ママにしても、しょっちゅう酒のお相手を務めてるらしく、その都度大威張りで娘の部屋に宿泊して行くらしいが、何せ近頃の側室はそれぞれが十部屋もあろうかと言う広大な専用領域で、数人の小間使いにかしずかれて暮らしている以上、一人や二人の客人が泊まったところで何の障りも無い筈なのだ。

着るものなども相当豪華なものが揃ってるところから見ても、みどりママと秋元女史の手がまわってる結果には違いないが、少女たちが充分なおしゃれをして揃って外食のお供をする際なども、その決定権の多くは娘たちが握るまでになって来ていて、陛下の方が押され気味だと言われるほどで、とにかく近頃のオンナどもはひたすら強いのだ。

したがって王家の「家庭」が極めて円満な空気に満ちてることは確かだが、かと言って、口うるさいオンナどもが喜ぶような展開にはなりそうに無いのである。

確かに王家の世継ぎ問題は、我が日本の国益にも影響するところ大ではあるが、何せ若者が最愛の家族を失ってから未だ二年と少ししか経っておらず、時おりお見せになる寂しげな横顔からは未だに失ったものの大きさが滲み出ており、こっちもたちまち当時の凄惨な状況が脳裏に浮かんでしまい、男同士の会話の中でさえとても口を出せるものでは無い。

その点、田中などはかなり無遠慮な口を利いて陛下の尻を叩いてはいるようだが、近頃では逆にその田中の方が陛下から結婚を勧められることが少なくないとも聞いている。

例の外国人女性たちとの艶聞も近頃はとんと聞かなくなり、聞けばもう飽きたとほざくありさまで、失恋してあれほど落ち込んでいたことなど何処吹く風で、自分の女性修行はもう完璧だから今後は陛下の指南役に徹するつもりだなどと吹いてるようだが、流石に岡部の前ではそんなエラそうなことは言わないらしい。

尤も、当時は田中の口から相当の撹乱情報を発信することを得た筈で、のちに国王陛下のご賛同まで頂戴した戦略の一環でもあったのだから、それはそれで成功例の一つに数えてやっても良いのだが、当人が修行は済んだなどとほざいていられるのも、実際には撹乱情報をあまりに手軽に発信し過ぎたおかげで、敵にとっての利用価値が急落してしまった結果、その攻撃が自然に鎮静してるあたりがことの真相ではあるのだろうが、近頃では派手なガールフレンドたちとデートする機会そのものが失われ、暇をもてあましてるせいか、あのお調子者が陛下の好物の焼酎の醸造を研究したいなどと言い出す始末なのである。

また、好物と言えば、陛下の剣道好きも相変わらずで、自然道場通いも続いているため、とうに田中も入門を果たしており、「側室」たちの間でも微妙なバランス感覚が働いたものと見え、ここ一年ほどはあのローズ嬢までが道場に通い詰めていると言う。

無論、咲子嬢からは未だ一本も取れないとは言うが、高橋師範や加納君の話だと筋は悪くないらしく、本気で修行すればものになるかも知れないと聞いた。

話では、初心者の域を脱してることだけは確かだろうが、直接手合わせをしてないこともあって、口さがない連中の間には、少なくともこの私よりは上だと評する手合いまでいるらしい。

現に最近道場を訪れた安田長官もたじたじだったと言うが、それは新参者の修行の励みとなるよう大先輩が与えてくれた大飴(おおあめ)に違いないのだ。

かなり本気で竹刀を握って来ていることは認めるが、僅か一年かそこらでそこまで上達してるとも思えないし、こっちもそろそろ腰を上げて一度手合わせをしてやるつもりではいるものの、如何せん次々とことが起きてその暇が無いのである。

一方、陛下の秋津州ロイヤルホテル通いもそこそこに続いていると聞く。

自分も一度だけお供させていただいたが、例のベリーダンスにしても、新たに若手ダンサーを養成したらしく相当な美形を揃えて来ており、その全てが如何にも触れなば落ちんと言う風情の者ばかりであり、カジノはもとよりその辺りのカウンター席付近にも、妖艶な姫君たちが大勢お出ましになっており、それこそ何れアヤメかカキツバタと言う眺めだ。

秋元女史の情報では、お成りの節は普段出没する娼婦どもを一掃してあるらしく、その点あれだけの専属要員を常に待機させているとなると、あのタイラーも必死なのだろうが、少なくとも余程の予算を掛けてることだけは間違いないだろう。

この遊びに関しては亡き王妃の実兄にもお声を掛けてらっしゃるようだが、正嘉氏はこの八雲の郷の中でもかなり辺鄙なところに住まい兼工房を賜った上、玉はがねや木炭まで支給され、一心にその道に没入しているらしく、陛下のお誘いにも耳を傾けようとはしないと言う。

その身の安全を図る意味もあって、下僕のような形式で老人型のヒューマノイドを一人だけ付けてはあるようだが、まったく外出する気配も無く、鬼気迫る形相で日々鉄と火に向き合っているらしい。

自身例の事件で左側頭部に大きな傷を負い、形成外科手術によって多少は癒えたとは言うが、相当な傷跡も残っている上そこに耳など存在しないのだ。

そのこともあってか、一段と外部との接触を嫌うようになり、訪客に対してもその下僕に任せ切りで顔も出さないと言う。

もともと相当の変人だったところにもって来て、近頃益々その傾向が強まり殆ど口も利かないらしいが、その作品だけはそこそこの評価を得始めているらしく、かなりの高値で買い取る者が出て来ており、少なくとも食い扶持には困らないだけの収入はあるらしい。

ところが、近頃この変人の身に大事件が起きたと言うのだ。

数ヶ月前変人刀匠は王宮を訪れ会心の作を献上したと聞くが、その時以来その暮らし振りに若干の変化が見受けられ、秋桜エリアでも微苦笑を誘うに至っているのである。

実は刀匠が訪れた際に、たまたま別の訪客があって同席したと言うのだが、それがなかなかの成熟振りを見せるある日系の米国人女性だったらしい。

例のタエコ嬢なのである。

その女性は確か国王陛下と同年の筈で、しかもかなりの美形に成長していた上、初対面にもかかわらず変人刀匠の心の傷を相当に癒してくれたものらしく、何と男女の交際にまで発展してしまい、その後、刀匠の身辺にしばしばその姿を見かけるようになったと言うのだから驚きだ。

聞けば、タエコ自身は丹波に移住の際それまでの男性とは別れてしまっており、別れの理由にしても、その男性がモニカのカレとぐるになって、彼女達の財産を散々食い物にした挙句、相当な部分をいいようにして本国に帰ってしまったためであり、モニカも後を追うようにして帰国してしまったと言う。

全ては男たちの借財に二人共承知の上で保証人として名を連ねてしまった結果であり、少なくとも男どもに去られたからといって犯罪として追及することは出来ず、結局見事にからっけつにさせられてしまっていたことになるのだろうが、その結果モニカと二人で経営して来た酒場も一人で切り盛りせざるを得ない状況に陥り、どうもその性格が経営には向いてないこともあって、その経営状態もはかばかしいものとは言えなかったらしい。

しかも、仕入れや何かを大幅に任せた従業員にたまたま経済的な事故があり、それに連座して相当な損失を蒙ったこともあったらしく、気配では、若者がその経済的苦境を救うべく手を伸ばそうとした際に、どうやら刀匠が己れ一人の手で救いたい素振りを示したらしく、敢えて手出しを控えたもののようだ。

陛下としても、義兄の心の傷が癒されつつあることを寿ぎつつひたすら静観の構えのようだが、聞くところによると、その後タエコ嬢は意外な行動に出たらしい。

何と、刀匠の支援の申し出を受けなかったと言うのだ。

一つには、帰国したモニカの死亡が確認されたこともあったようだが、その自由を得たため、店を処分してあっさりと廃業してしまったのである。

その処分によって問題の借財も一応の整理がつき、無一文になりはしたが、オーナーの代わった同じ店にあっけらかんと勤めながら、まったく身軽な体で刀匠のもとへ通っていると言い、出会いから既に二ヶ月ほどが経つ今、近々にも目出度い知らせがありそうだが、いずれにしても、いい年をした大人同士のことでもあり、結局自然のおもむくところを見守るほかは無い。

 ◆ 目次ページに戻る

  1. 2008/02/14(木) 16:57:17|
  2. 妄想小説 主権国家|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0
前のページ 次のページ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。