日本大好きじいさんの落書き帳

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自立国家の建設 128

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「復員して来た兵士、大いに武勇談を語るっつう話もくさるほどあるぜえ。」

ヒゲ面が思いっきりほころんでいる。

「ほほう。」

「岩見重太郎とか荒木又右衛門じゃあねえが、すげえ豪傑ばっかり出てくんだな、これが。」

「あはは、みんなスーパーマンばかりですよねえ。」

「しかも、戦闘場面の大活躍ばかりか、しまいには戦地で近隣の中国娘とよろしくやったとか言う話まで尾ひれがつく。」

「あらあら。」

「これがよ、同じ部隊のほかの兵士に聞くと、まるっきり話が違ってきちゃったりするんだよな。」

「いわゆる武勇談だったってわけですか。」

「なにしろ、その兵士が単独で戦ってるわけじゃねえんだからよ。」

「はい。」

「究極の団体行動のさなかの話だ。下手に抜け出してうろつこうもんなら、命の保障どころか、仲間たちにまでえれえ迷惑をかけることになっちまうんだ。」

「え。」

「点呼に遅れたりすりゃあ、その班の全員が連帯責任だし、下手すりゃ所属の全部隊が大騒ぎだぜ。のこのこ帰ってきたら殴られるだけじゃ済まねえだろうよ。」

「なるほど、そう言うことですか。」

「脱走兵や落伍兵じゃあるめえし、単独行動なんかできっこねえんだ。」

「はい。」

「くどいようだが、長いこと同じ釜の飯を喰いながら生死を共にして来た戦友たちが常時まわりにいて、しかも、連隊はみんな故郷が一緒だと来てる。」

「連隊衛戍主義ですよね。」

「それとな、よくぼろくそに言われるこの中国戦線の話だがよ。」

「はい。」

「この中国戦線では日本軍はほとんど連戦連勝なんだ。数え方にもよるが、五十数回戦って勝てなかったなあほんの二・三回だ。」

「へええ、初めて聞きました。」

「何が言いたいかっつうとだな、軍隊ってもんはボロ負けに負けて潰走するときが一番問題なんだっつうことを言いたいわけだ。」

「あ。」

「判るか。」

「はい、統率も兵站補給も失われてる状態だってことですよね。」

「そうだ。友軍に合流出来なけりゃ、あの広い大地で永遠にさ迷い続けた挙句、下手すりゃ野垂れ死にだ。」

「悲惨ですよねえ。」

「だがな、当時の日本軍は少なくとも連敗することが無えし、常に迅速に戦線を復旧出来てるから、敗兵の収容に長い時間を要するなんてこたあ先ず無かったんだよ。」

「へええ。」

「通常は勝ち戦さばかりだから、世界一厳しいと言われた軍律もそれなりに守られていたことになる。」

「少なくとも勝ってるときの軍律違反は当然重い処罰を招きますものねえ。」

「殊に破廉恥な軍律違反は大勢の戦友たちの目があるから、先ずごまかせねえ。」

「じゃ、故郷の親族なんかが白い目で見られちゃうようなひどいことなんか、やって歩いてる暇は無かったってことになりますよねえ。」

「あたりめえだ。おめえの言い草の南京大虐殺にしたって、極東軍事法廷ですら敵さんは一人の目撃者もひねり出せなかったくらいだ。」

「確か、憶測と伝聞ばかりだったですよね。」

「その憶測と伝聞にしたって、てめえに都合の悪いことなんか言うわきゃあねえだろ。何しろアメリカさんのおかげで曲がりなりにも一応戦勝国さまだ。そんな証拠がありゃあ、なんぼでも出してこれた筈なんだ。」

「必死になって捜しまわったけど、結局発見できなかったんでしょうね、気の毒に。」

「気の毒には良かったな。あははは。」

「当時はもう、カメラなんかもいっぱいあった筈ですよね。」

「うん、少なくとも当時南京城内にいた外人さんなんかは相当持ってた筈だ。」

「あ、それで大分あとになってから、証拠写真とか言うヤツがぞろぞろ出て来たんですか。」

「ばかやろう、そんなのあ、いまだに一枚も出てきてねえや。」

「え、だって。」

「だからよう、真冬の筈の南京で半袖着てる兵隊だとか、合成されたのだとか、とにかくインチキばっかりで、大虐殺の動かぬ証拠になるようなもなあ、ただの一枚も無えって言ってんだよ。」

「そうなんですかあ。」

「あるってんなら持ってこいや。おめえの言い草だと、城内に一杯いた筈の外人さんたちが、大虐殺の証拠写真ぐれえ撮って無え筈は無えだろ。何せ、短期間に何度も何度も何十万人も虐殺しまくったって言ってるくれえなんだからな。」

「う・・・。」

「当然、撮影者と場所と日にちぐれえははっきりしてなきゃダメだぜ。」

「あ、なるほど。」

「まして、へんてこな写真持って来て、キャプションにこれが日本軍の残虐行為でございって書くのも願い下げだ。」

「そんなもの、あとでいくらでも書けますからねえ。」

「それとな、断っとくが日本軍は敵兵はいっぱい殺したぜ。南京へ向けて進撃中だってそのへんをうろついてる怪しげなヤツなんか、それこそ、ばんばんとっつかまえて来て片っ端から銃殺だ。」

「そんなあ。」

「ばかやろう、ホンモノの一般人ならみんな逃げ散ってて、戦場付近でなんかうろうろしてるもんかい。それに敵さんは形勢不利と見ると直ぐに略奪して軍服は脱いじゃうんだ。」

「でも、それじゃ大虐殺になっちゃうじゃないですかあ。」

「あれれえ、そんなこと言ってたら、こっちだってこの戦いだけで何万人も殺されてるぜえ。」

「それって戦死者ってことじゃあ・・・。」

「普通それを虐殺って呼ぶのかよ。」

「いえ・・・。」

「まあ、当時の日本軍が上海から南京にかけて、膨大な中国人さまを殺したことは間違い無えだろう。」

「はい。」

先輩の口振りでは相当な大戦争だったらしいし、その戦争に勝利するために敵に大打撃を加えたと言っているに違いない。

「あっちこっちの局面で一旦捕虜にしたものの、始末に困って殺しちゃったことも事実だろう。」

「・・・。」

「例の幕府山の件なんかも、一度に一万数千もの敵兵が一斉に降参してきたのを、一旦収容して食事まで与えて置きながら、ほとんど皆殺しにしちゃったってえのも本当の話だろうよ。」

(筆者註:幕府山とは南京城外北方の地名)

「あ、それって・・・。」

「うん、それほどの大人数を入れとく捕虜収容所なんて急に作れっこ無えし、満足な囲いすら無えくれえだから、その夜捕虜たちが闇に紛れてどんどん逃げちゃって、残った僅かの敵さんも解放してやろうとしてたのに、暴動が起きちゃったから已む無く撃ち殺したって言う話も聞いてるが、オレは怪しいもんだと思ってるぜ。」

「へえ、先輩の話としては意外でした。」

「ばかやろう、ヒトを見くびるんじゃねえ。」

「すいません。」

「少なくとも、捕虜たちやなんかを軍法会議や軍律会議にもかけずに殺しちゃうなんざ、まともなことだとは思って無えが、かと言ってそのときの現場指揮官やその上級指揮官の身になって考えて見たら・・・・。」

ヒゲ面が苦渋に満ちた表情で、今豪華なシャンデリアを見上げている。

「・・・。」

「自分の身に振り替えてみたとき、はっきり言って自信が無えんだよ。なんつったって自分の部下たちの糧食さえ満足じゃ無え状況だ。」

「でも、やっぱりまずいですよお。」

「その通りだ。本来やっちゃいけねえことだ。」

「ですよねえ。」

「ほかの国の軍隊の場合でも良くあることだとは言いながら、そんなことは理由にはならん。反省すべきは素直に反省するべきだと思っとる。」

「現に、敵さんの場合なんか、戦争でもないのに在留日本人をあっちこっちで殺しまくってましたからねえ。それも目を覆いたくなるよう残虐なやり方ばっかりで。」

「ほほう、それは知ってたか。」

「ボクだって、そのくらいは知ってますよ。」

「なんせ、戦争でも無いのに普通の在留邦人が被害に会った暴虐事件はそれまでにもごろごろあったからな。」

「その流れで行くと、陥落後の南京城内の掃討戦はかなり厳しかったでしょうねえ。」

「うん、残敵掃討は常に重要な作戦だ。おろそかにしてると、それこそえらいしっぺ返しを喰うことになるからな。」

「残敵掃討で思い出しましたが、城内に南京安全区国際委員会ってのがあったそうですよね。」

「うん、こいつ等も憶測と伝聞でいろんなことをしゃべってやがるよな。」

「しかし、外人さんが主導的に運営してたんですから、かなり中立的な立場に立っての証言だった筈ですよねえ。」

「なんだ、その中立って。」

「いや、ですから南京在住の外国人たちが安全区って言う中立地帯を作ってたわけでしょう。」

「そんなもなあ無え。」

先輩は実に意外なことを言う。

「え、だっていろんな資料に書いてありますよ。」

「尻に書いてあろうが、おでこに書いてあろうが、そんなもなあ無えって言ったら無えんだ。」

「だって・・・。」

「確かにおめえの言う南京安全区なんとかって名前の団体はあっただろうよ。だがな、だからと言って、それが中立を守る団体だったってことにはならねえって言ってんだよ。」

「でも・・・。」

「おめえ、まさか中立ってことがどう言うものか知らねえんじゃあるめえな。」

「でも、彼等は中立を大声で主張してた筈ですよ。」

「ほほう、でかい声で主張したら、中立だって認めてもらえんのか。初めて聞く話だな。」

「でも、その声は尊重されるべきだと思いますけど。」

「ばか言え、日本軍は十分過ぎるほど尊重してらあ。」

「だったら、彼等の見解だって尊重されるべきでしょう。」

「ふふん、ことによりけりだな。」

「どう言うことですか。」

「あのなあ、また仮にの話で恐縮だがよ。」

「・・・。」

「例えば、ドイツとフランスの中間にBと言う国があったとするわ。」

「Bですか。」

「そうだ、Bだ。B国は独仏両国に挟まれてる地形だ。」

「それでどうなるんすか。」

「うん、ドイツとフランスの仲が険悪になるんだな、これが。」

「はい。」

「それでこの場合、Bと言う国は永世中立を大声で宣言してることにしようぜ。しかもドイツもフランスもその大声を耳にしてるから、Bの声が一応届いてることになるんだが、その永世中立を独仏が承認してたかどうかは、この際大して問題じゃあ無えんだ。」

「・・・。」

「ここで、独仏戦がいまにも勃発しそうな雲行きだ。そんときのB国が負うべき責めを思ってみろよ。」

「あ、独仏どっちにも味方しちゃいけないんですよね。」

「当然だろう。なんせてめえで言い出した『中立』なんだからな。ドイツ軍がB国に侵入して来て対仏戦の橋頭堡を築いちゃうとか、通過点として利用するとかは断じて許され無え。」

「そうですよね、自分から言い出した中立なんですから。」

「だが、ドイツ軍は怒涛の如くB国に侵入してくるかも知れねえぞ。」

「う・・・。」

どっかで聞いたことのあるような話だ。

「そんとき、B国が中立って書いた看板を出して置きゃあ、ドイツ軍は黙って引き返して行ってくれるのかい。」

「いえ、・・・。」

「ちょっと余談だがなあ、二十世紀初頭に日露戦争ってえのがあったよな。」

「はい。」

「その日露戦争勃発前夜だが、朝鮮半島にも似たような話があったのを知ってるか。」

「あ、はい。」

「当時の半島は大韓帝国ってえ名前を名乗ってたんだが、それもこれもその直前に日本が血の汗を垂らして、ようやく確保してやった名前だ。」

「あ、日清戦争・・・。」

「そうだ、その日清戦争で日本が大清帝国さまを北方へ押し返した結果誕生したんだからな。」

「確かに。」

「ところがだよ、日本が少し大人しくしてたら、大清帝国さまの代わりにこんだロシア帝国さまがやってきやがった。そんときの大韓帝国さまは中立って書いた立て看板一つ出さなかったんだ。」

「・・・。」

「ロシア帝国さまは半島にどんどこどんどこ縄張りをおっぴろげて、しまいにゃあ半島の南端にまで進出してきやがった。対馬なんてもう目と鼻の先だぜ。もうじきその対馬に軍港を築くところまで行くにちげえねえ。」

ライト兄弟が記念的初飛行を行ったのは千九百三年の暮れであって、この当時は制空権と言う概念は未だ成立すらしていない。

ロシアがその強大な海軍力を以て対馬を足掛かりに制海権を確立してしまえば、少なくとも日本は西北方面への行動の自由をまったく失ってしまうのである。

「まさか、そこまでは・・・。」

無論、対馬はれっきとした日本領だ。

「やらねえ理由がどこにあるんだよ。現にロシア帝国さまは立派な前歴をお持ちだぜえ。」

「え。」

「幕末のことだが、現にその対馬を軍事占領したじゃねえかよ。」

「あ。」

思い出した。

れっきとした史実なのだ。

そのときのロシア帝国さまは、問答無用で対馬に陸戦隊を上陸させ、現地の日本人を多数殺害し、或いは捕まえて人質となし、なんと言われようと図々しく居座り続けたのである。

居座る為に、砦まがいのものまで作っちゃったほどだ。

「そんときだって、日本側は自力じゃどうにもならなくって、大英帝国さまにお願いしてやっと追っ払ってもらったくれえだ。」

その大英帝国さまが動いてくれたのにも、無論それなりの理由がある。

ロシアの対馬占領が、ときの大英帝国さまの利益に大きく反していたからだ。

「そうでした。」

「前回とは違うぜえ。ロシア帝国さまは、今度は準備万端整えて半島の南端までいらしてるんだぜ。」

「う・・・。」

「シベリアから満州まで通した鉄道を、そのまま半島を縦断させれば、日本を屈服させる準備が整うんだ。一旦そうなっちゃってからじゃ、この日本は従属を免れねえ。当時の国際常識から言って、ロシアは紛れも無え純然たる仮想敵国さまだ。」

「そりゃ、そうですよね。」

「そんでよ、そんときの大韓帝国さまのなさりようはどうよ。」

「・・・。」

「ロシアと言う仮想敵国の片棒を担いだことだけは間違い無えだろう。」

「・・・。」

「あちらさんはロシアさまに脅かされて無理矢理だったから、自分等に責任は無えって仰るが、そんな屁理屈は通らねえ。少なくとも抵抗の実(じつ)をあげようとはしてねえんだから、その時点で敵対行為と看做すのが普通だ。」

「・・・。」

「どこの味方をしようが勝手だが、必死に抵抗するどころか、愛想笑いしながら揉み手までして迎え入れた以上、日本から見りゃあ純然たる敵対行為だぜ。」

「はい。」

「我が身可愛さに日本と言う隣国の命運を賭けものにしちゃったんだから、仮にその後日本から攻め込まれて例え一千万人殺されちゃっても、少なくとも道義上はとやかく言う資格は無えだろうよ。」

「・・・。」

「いくら弱国だからって、何をしても許されるわけじゃあ無えんだ。歴然たる敵対行為を働く以上、同時に相手からも敵視されるのは覚悟の上のことじゃねえのか。」

先輩は憤懣遣る方無い様子で仰るが、酒のほうも相当効いて来ているに違いない。

「そのくらいは判りますよ。」

「判ってりゃいい。」

「ところで、さっきの独仏とB国の方の話はどうなるんです。」

B国の話がどっかへ行っちゃったのである。

「あ、そうだ。そのB国さまの話だ。」

「はい、そのB国さまの話です。」

「ドイツの空軍機がそのB国の領空を飛んで、フランスを爆撃しようとするかも知れねえ。逆もまた然りだ。」

「はい。」

「そんときのB国は永世中立を謳う以上、侵入者を一意に撃退する責めを負うんだ。両国の飛行機が自国の領空に侵入してきたら、それが百機だろうが千機だろうが問答無用で一機残らず撃墜しなきゃならねえ。」

「そうでしょうね。」

「とても敵わねえような強力な機甲兵団が大挙して進入して来た場合でも、それこそ全滅を賭してでも押し返す意思を行動を以て示さなければならん。それが独軍であっても仏軍であってもだ。」

「それは当然そうあるべきでしょうね。」

「とにかく、口先だけで百万遍中立を唱えてたって、屁のツッパリにもなりゃしねえんだ。」

「屁のツッパリですか。」

「まして、独仏戦が行われ、独仏いずれかの軍兵がB国に入り込もうとしたら、それも断固として排除するか、若しくはその武装解除に完璧を期す責めを負う。完璧を期すためには、少なくとも終戦まではきっちり禁足して見張っておかざなるめえ。B国の民衆の間にもぐりこませておいて見てみぬ振りをするなど、中立国としてはもってのほかの背信行為だ。」

「確かに、仏独戦の最中にフランス兵をかくまったり保護を加えたりしたら、ドイツから見たらその瞬間に中立じゃなくなっちゃいますよね。」

「そうだろう。中立どころか敵対行為だ。」

「はい。」

「現に永世中立を以て国是としているスイスなんかは、そのことを実効あらしむる為にずっと重武装で通して来てるし、国民皆兵制で、しかも一般家庭にまで銃を常備させて、普段から死ぬ気で軍事教練や避難訓練をやっとるくらいだ。」

「実例がありましたねえ。」

「仇やおろそかに中立を考えちゃいけねえ。中立を守ると言うことは実にそう言うことなんだぜ。」

「結局、『非武装』中立なんて物理的に成り立たないんですよね。」

「そうだ。武装を解いた瞬間に中立そのものも消えてなくなっちゃうんだ。」

「哀しいけど、それが現実なんですよね。」

「さすがに最近は、非武装中立を叫んでみせる連中は少ねえな。」

「ほんとですね。」

「然るにだなあ。」

「はい、然るに。」

「件(くだん)の南京安全区国際委員会とやらはどうだったか。」

「・・・。」

「確かに中立の立て看板だけは百万本も揚げて見せたかも知れねえが、その実態はどうだ。あろうことか、大量の敵さんの流入を許したばかりか、その中の幹部を直接匿い保護をさえ加えた。裏でつるんでやがるんだよ。」

「そうだったんですか。」

「あまつさえ、流入させた敵兵どもの助命歎願まで大威張りで出してくる始末だ。もしそいつ等が中立を叫ぶんなら、自らの背信行為を自ら認めてることになるんだ。」

「でも、人道上・・・。」

「ばかやろう、未だ戦争中だ。しかも売られた喧嘩だぜ。」

「だって、助命歎願でしょ。」

「未だわかんねえのか、戦争中だって言ってるだろがあ。うかうかしてたら、こっちにもえらい犠牲者が出ちゃうんだ。」

「・・・・。」

「この場合の敵兵どもは安全区の中に紛れ込み、降伏の意思を示すどころか、武器を携え、或いは付近に隠匿してるんだ。しかもこれが半端な人数じゃあねえ、はっきりとは言えねえが数万は固えだろう。」

「あ、・・・。」

「そいつらが死に物狂いで暴れたらどうなるよ。素手じゃねえんだぞ。」

「・・・。」

「まして、軍服なんぞ、とっくのとうに脱いじゃってるんだ。」

「・・・。」

「そいつらが本気で降伏を望むんだったら、その外人さんたちに武器を差し出してひたすら恭順の意を示すのが本当だろうぜ。」

「う・・・。」

「判ったか。その安全区国際なんとかが中立どころか敵対行為を働いてたことが。この日本じゃあ、未だに良心的な外国人グループと見てるヒトがいるようだが、考えて見りゃあとんでもねえ話なんだぜ。」

「はい。」

「しかも、その外人連中は長いこと首都南京に住んで、あっちの国とでかい商売をしてるヤツがほとんどだ。中には牧師さんもいたみてえだが、いずれにしても日本軍によりも、敵さんの方にはるかにシンパシーを感じてた筈だ。」

「日本軍はそこに攻め込んだんですから、それはそうでしょうね。」

「それでも我が軍はその団体を尊重したぜ。はらわたが煮えくり返る想いだったろうが、何せ西洋人ばかりだ、当然欧米列強の世論に配慮する必要があったからだ。」

「あ、そう考えると、この外人さんたちの母国が弱国ばかりだったら、日本軍に銃殺されててもおかしくないですよね。」

「とにかく戦場だぜ。戦場で利敵行為をはたらくやつは見つけ次第銃殺だ。こりゃあ、どこの国の軍隊だってみんなそうだろう。」

無論、平時ではなく戦時中の話なのである。

「そうですよね。」

「そう言うやつ等が憶測と伝聞だけでほざいてる事なんざ誰が信用するかよ。それこそ臍が茶を沸かすぜ。」

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  1. 2008/05/30(金) 14:34:34|
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