日本大好きじいさんの落書き帳

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自立国家の建設 059

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さて、タイラーが大わらわで報告書を書いているその頃、いみじくも東京では秋津州対策室に三々五々集まって来る人々がおり、八名とされるその全員が好意溢れる接遇を受けつつ、二台のポットに分乗して秋津州へ向かうことになるのだと言う。

対策室のリストによればその八名の賓客は久我夫妻と立川みどり、そしてその他五人の若い女性たちだと言うが、中でも若い女性たちは久我京子の親しい友人ばかりだと言い、それぞれがかなり大き目のトランクを携えた旅支度で、一様に気持ちの昂ぶりを押さえかねる表情を浮かべているが、彼女たちには、やがて秋津州のホテルの中でも最高級レベルの部屋が宛がわれ、予想を超える接遇を享受しながら緊張の明日に備える事になるのである。


そして明くれば九月の十八日だ。

国王婚約の報道が飛び交う中、秋津州神社の社前において国王と久我京子の婚姻の儀が執り行われることとなったが、参列を許されたのは、日本から招じ入れられた八人の日本人のほかには秋元京子と新田源一だけだったと伝えられたが、無論その参列の行程にしても尋常なものでは無かったろう。

何しろ式場となった秋津州神社は龍神の滝の裏側に穿たれた洞穴の奥に鎮まっており、国王が一般人の歩行にも耐え得るよう手を入れ奥にまで灯りを灯していたとは言うが、その工事もあくまで洞穴の内部だけにとどまっており、恐るべき急崖が人間の登攀を厳しく阻んでいることに違いは無く、結局参列者たちは若者の特別の力によって目的地に一瞬で到達することによって、初めてその式典を目にすることが可能になったと言って良い。

いずれにしても、その地において簡略極まりない婚儀が行われ、その知らせが世界を駆け巡ったことは事実であり、報道によれば新郎はいつもの軍装であったものの、花嫁の方は豪華な打掛け姿だったと言い、社前において祖先の御霊に婚姻の意思を報じることを以って、目出度く式典の幕が下りたと言う。

その後、内務省四階のホールを用いて立食形式の宴が催されはしたが、事前の招待どころか発表すら行われなかったこともあり、出席出来たのは一部の報道陣を含め精々五十人ほどでしかなかったとされ、その宴一つとっても、花嫁にウェディングドレス着用の機会を与えることが最大の目的であったかのような報道まで流れ、それを最も強く主張したのは立川みどりだったとされたが真偽のほどは定かではない。

ただ、数限り無く飛び交った周辺情報の中で確かな事実として残されたのは、一時話題をさらった例の巨大ダイヤがみどりから花嫁に譲られたことだったかも知れない。

その情報によれば、花嫁がそれを固辞する姿勢を見せたにもかかわらず、国王が自ら裁定してその移譲が行われたと言い、「秋津州の奇跡」と呼ばれるこのダイヤが再び脚光を浴びることになったのだが、のちに漏れてきたところによると、みどり自身がそれを所有し続けることを嫌ったのだと言い、結局、一般庶民としてのみどりにはその管理自体が過重であったからに違いないと囁かれた。

何にせよ世界のメディアは挙って国王婚姻の話題を取り上げ、中でも日本のマスコミなどは狂わんばかりの体で連日特集番組を組んで報じ、花嫁が在学中の学舎にも多数の報道陣が殺到して騒動を引き起こすに至り、大学当局を困惑させる場面まであったようだが、本人に退学の意思の無いことが伝わるに連れ、来春の入学希望者の増加を見込んで算盤を弾く者もいるのだと言う。

一方で隠棲中と言われる花嫁の父と兄を、顧問とか相談役だとかの名目で担ぎ出そうとする動きもあったようだが、今のところいずれの話も引き受けたと言う情報は無く、経営破綻劇の進行中に離婚が成立して一人身となった正嘉(まさよし)氏に至っては、その所在すら知る者は少ない筈だ。

一説によれば正嘉氏は加熱する報道攻勢を避けたのだとされたが、現今の秋津州情報には格別の話題性があるだけにそれも致し方の無いことではあったろう。

現に日本のメディアなどは花嫁の周辺を集中的に嗅ぎまわり、多数のご学友なるものを登場させて来ており、中には花嫁本人がろくに会った事もないような「親友」まで出てくる始末で、それらの人々がそれぞれに発言して大衆の興味をそそり、甚だしきは、王妃の異性関係を発掘しようと試みる手合いまであったようだが、信憑性が高いとされるようなものは創作すら出来なかったと言う。

何はともあれ虚実取り混ぜて呆れるほどの情報量であり、その結果王妃は日本で最も著名な人物の一人になってしまったことだけは確かだろうが、それらの報道の中に登場する花嫁像には、少なくともその知能水準に疑義有りとするようなものは無論皆無だ。

だが、ワシントンでは花嫁のそれを常人のものとは見なしてはおらず、在学中の総合大学を卒業するにも少なからず無理があるだろうと評するものも少なく無いようだが、その説を採る者は日本の大学制度の実態を解せずに言っているに違いない。


なお二十日になってから、王妃の身辺に侍して身辺警護を担うべく一個小隊の編成が成ったことが公表されるに至ったが、秋津州の軍編成で一個小隊と言えばその兵員数は千人と聞く以上、たかが一個小隊と言っても、もうそれだけで巨大な軍事的脅威だと言って良いほどである。

しかも、この一軍が全て女性を以って占められているとされ、言い換えれば王妃専従の侍女団と看做せると喧伝されるに至り、盛んな取材の標的となりはしたが配備の実態は一向に見えては来ない。

次いで彼等が知るところとなったのは、海都・大浦・北浦の三個村に夫妻が揃って行幸し、それぞれの長老の邸において盛大な祝宴を催したことであったと言うが、公式発表によると、この国家的な慶事を国民と共に祝おうとするものであると言い、これはこれで至極もっともなことではあったのだが、その実際の光景は一切メディアに漏れてくることは無く、全て口頭での事後発表だけであり、各報道はこのイベントについては、公式発表に沿って如何にももっともらしい解説を加えるよりほかは無い。

一方で非公式情報なるものがしきりに飛び交い、なかんずく、日本で改めて披露宴が行われるのではないかと言う者も数多く存在し、それも、かなりの大イベントになると言う観測しきりなのである。

しかもこの観測には、それなりに合理的な理由も無いわけでは無く、一部漏れてくる情報では、花嫁側の親族や友人のあいだに、参列出来なかったことに対する不満が少なからず出ていると言い、万一それが事実であればと神経を尖らせる者まで存在するとされ、無論例外無く招待状の到着を待ち望んでいると言う。

尤も、その傾向は国家レベルにおいても言えることであり、殊にワシントンなどにその思いが格別に強いとされ、この情勢下で万一合衆国が無視されるようなことがあれば、星条旗が泥にまみれてしまうと言って狂騒する者まで出るに至っては、秋津州現地で直接情報収集にあたっているタイラーも、たまったものでは無かったろう。

何せ、結婚式の前日に花嫁に会っているのである。

それにも拘わらず、秋元女史は一言もそれを漏らしてはくれず、折角回復したタイラーの食欲は又しても失われてしまうに違いない。

早々に弁明のレポートを送りはしたが自然ワシントンの反応には冷ややかなものがあり、更に砂を噛むような気分を味合わされているさなか、久々にモニカから連絡が入って報告があると言う。

無論飼い殺し同然の連中の情報などに大した興味は無かったのだが、いざ聞いてみるとそれが合衆国の滅亡を匂わすほどのものであったから、瀕死の胃袋に更に追い討ちを掛けることになってしまった。

齎されたデータは実に第四の荘園とでも言うべき天体の出現を主張しており、その天体が既に老成して死の星と化し、殆どの地表が剥き出しになり果ててはいたものの、最大級の脅威がその剥き出しの地表に見えたのである。

何せそこには、合衆国本土と同様の形に掘られた巨大な痕跡が見えており、掘り出された大地そのものも別の大陸の上に乗せられて存在した上、念の入ったことに、アラスカに相当する部分まで丁寧に形成されていたのだ。

詰まり、合衆国本土と同等のサイズと形状を持った地表そのものが、まるでジグソーパズルの断片のように、そっくりそのままの形で別の場所に置かれていることになる上、巨大な痕跡の深さから見ても、その断片は恐らく数千メートルもの厚みがありそうだ。

しかもその痕跡たる大穴の中には、昨年の戦いで消滅させられた筈の中露の兵器類が累々と屍を晒しており、タイフーン級戦略原潜でさえ芥子粒のように見えてしまってはいるものの、それらの殆どがワシントンにとって既知の物ばかりであり、当然そのサイズも判っていることから、大穴のサイズも確実に推定することが可能だったばかりか、添付ファイルによって、対米戦に備えての作戦案まで垣間見ることが出来るのだ。

その作戦案の第一は、合衆国の全領土を掘削し、その全てを海面下に沈めてしまうと言うもので、第二案に至っては、合衆国の本土全体に、厚さ数千メートルもの岩盤を瞬時に載せてしまうと言う壮大なものであり、第一案の実施に要する時間は数日間、第二案に至っては、その巨大な岩盤の用意が既にある以上ほんの数分間で完遂するとされていた。

いずれにしても、第一・第二案ともに、万一実施されることになれば、合衆国の領土そのもののが失われてしまい、ワシントンが対抗手段を全く持てないこともはっきりしており、三億にも達しようと言う国民がその瞬間から漂流せざるを得なくなってしまうのである。

普通なら、あまりに荒唐無稽なものとして一笑に付してしまうところだろうが、どうやら秋津州軍は実戦に備えてその予行演習まで行っていたようであり、映像に見る大穴や巨大なジグソーパズルの断片が、そのことを大声で主張して已まないだけに、対秋津州戦における先制攻撃論を唱える者でさえ、最早沈黙してしまうに充分ではあったろう。


時に当たりタイラーが受ける訓令は、当然のことながら対秋津州戦略に関わる案件ばかりである。

中でも、新たに王家の縁に連なることとなった久我ファミリーが、自然重要課題として扱われるようになったが、王妃の両親については物心両面でガードが固く、利用出来る可能性は極めて低いと見られており、残るはその長男正嘉氏一人と言うことになるのだが、これが未だに接触すら出来ていないのだ。

当然、この男を威力あるカードとして使いたいところだが、世界に誇るCIAの情報網を以てしても、今だにその所在すら掴めないでいるが、各国ともに垂涎の鴨なのである。

それはそうだろう、なにしろ、未だ三十前で失職中、挙句に身軽な独身者で子供もいないときてるのだから、タイラーならずとも攻めどころ満載のターゲットに見えてしまうに違いないのだ。

無論目下手持ち無沙汰のキャンディ・ティームはおろか、その他の女たちにも、この男に関する資料を配布して、鴨の価値を徹底しているところであり、その成功報酬も国王の場合に準じるとまで言ってあるため、妖艶なハンターたちも目の色を変え、手ぐすねを引いてその機会を窺っている筈だ。

一方で、公表済みの王妃のプロフィルによれば、その誕生日は十一月二十二日となっていて、それまでには余すところ二ヶ月も無いのだが、無論絶好の好機であり、その歓心を買い、少しでも良い心象を得るために、彼女に喜んでもらえるプレゼントを是非とも用意したいところだ。

対秋津州戦略の一端を握る立場にありながら手段に窮してしまっている今、タイラーが藁にも縋りたい思いを抱くのも当然で、幸いにも東京にいる秋元女史の反応もここのところ決して悪くは無い。

再三に亘る働き掛けの結果、十月に入って間も無い日曜、王妃入国の報に接するとともに望みの一端が叶うことになり、勇んで御前に伺候し、近侍する秋元女史の口振りからも、さまざまなヒントを得て、肝心のバースデイプレゼントについても適切にイメージすることが出来たのである。

無論、早速その準備に取り掛かると同時に、ワシントンの手前大いに面目をほどこすことを得たのだが、王妃の知能がかなり未発達なものとの思い込みばかりは、大幅に修正を迫られることになってしまった。

そもそもその評価は、タイラーの問いかけに対する鈍重な反応から来ていたものであり、前回の対面の際、さまざまな問い掛けに対して、彼女が柔らかな笑みを湛えて見せるばかりで多くを語らず、自らの意思表示をし遂げる能力に欠けるところがあると判断してしまった結果だったのだが、今回の接見においても口数こそ多くは無かったが、毅然とした物言いなどは、既存の評価を根底から覆すほど凛とした資質をさえ示していたのだ。

しかも、その上で、胃の痛みを幾分でも和らげてくれる発言にも出会うことが出来たのである。

何と彼女は、「秋津州は陛下ご自身がお認めになったルールの範囲内では、決して反則はいたしませんし、一旦結んだ約束は必ず守ります。」と言ってくれたのだ。

それが事実なら、条件次第で外交交渉そのものが成立し得ることになるのだから、ことは重大だと言って良い。

また、「秋津州国王の妻であると同時に、一人の日本人として、日本の領土の一部が未だに他国に占領され続けていることを深く憂えております。」と語り、その前後に行われた秋元女史の示唆に富む発言から見ても、そのことも充分に理解が出来た。

『日本の領土の一部が未だに他国に占領され続けている。』と仰るが、北方四島の奪還が成った今、残る被占領地と言えばそれはただ一つであったろう。

日本国島根県隠岐郡隠岐の島町竹島官有無番地、いわゆる「竹島」である。

日本政府(外務省サイト)によれば、「島根県隠岐島北西八十五海里(北緯三十七度十四分、東経百三十一度五十二分)に位置し、東島(女島)、西島(男島)と呼ばれる二つの小島とその周辺の数十の岩礁からなり、総面積は約二十三万平方メートル(日比谷公園とほぼ同面積)。」とあるが、要するに日本海の波間に浮かぶ絶海の孤島であり、日本の領土に紛れもない。

しかるに今以って韓国に占領されたまま、日本の施政権を及ぼすことが困難な状況が続いており、日本政府は、韓国政府に対して毎年口上書を以て、その領域が日本領であることを主張し、かつ国際司法裁判所の審判を通じた「平和的」な解決を促し続けてきた。

にも拘らず韓国側は、この提案を拒否し続けて来たばかりか、日本の海上保安庁の艦船が近づくだけで、東島(竹島の一部)の頂上付近に設えた軍事施設から、問答無用で砲撃を加えてくる。

日本側が砲撃を受ける領域は、れっきとした日本国の領域なのである。

それも過去の話などで無く、今日も明日も起きているれっきとした現実なのだ。

そして、日本側は一切撃ち返そうとはしていない。

一方的に撃たれ放題なのである。

これでは、ごく普通に言って、日韓両国は既に戦争状態にあると言うほかは無いが、ただただ隠忍自重の日本が軍事的な報復行動を起こしていないだけの話であり、それを思えば、所詮国際司法裁判所の審判などと言って見たところで、相手国が応じなければ審理されることも無いため、結局何の足しにもならないのである。

まして、当事国以外の国家は、余程実害が及ばない限り口出しを控えるのが通例であり、結局のところ、当事国が「主体的」に解決する他に道が無いことになるのだ。

所詮、武力を以って奪われた国土は武力を以って取り返すほかに手が無いのかも知れず、このままでは、この問題はずっと放置され続け、韓国による「実効支配」が長期間継続した結果、「竹島」は国際的にも韓国のものになってしまうに違いない。

しかるに、本編における事態は明らかに変わりつつある。

かつて韓国経済は幾度(いくたび)も崩壊しかけた挙句、日本も秋津州も多大な援助を実行して来ており、現在も(秋津州の圧力によって)米国の支援を受けているとは言うものの、設備や金の支援を得るだけでこと足りるほど、一国の統治が容易なものである筈は無い。

しかも、秋津州からの借款(五百億ドル)の償還期限もとうに過ぎてしまっていながら、決済の意思も能力も持たい以上、かの国は独立国として自立能力を失ってしまっていることが明らかであり、ときにあたって王妃の言葉は多くの示唆を含んでおり、ワシントンはそれを良く咀嚼し、即座に決断し、機敏に動き、その同調者を積極的に募り始めたのである。

ワシントンがこれを、最大級の政治行動と認識した結果ではあったろうが、「こと」は進み、時をおかずして実行に移されることになる。

その「こと」とは、ある一日に限り「竹島」を租借したい旨を、「こと」に賛同する各国政府が「公式に」日本政府に申し入れると言うものであったのだが、租借を申し入れる相手先はその領域を現に「領有」している国でなければならぬだろう。

従って、租借を申し入れた国家は、その瞬間に「竹島の領有権が日本国にあると認識していますよ。」と、公式に宣言したことになる上、その「ある一日」が王妃の誕生日たる十一月二十二日であることから、バースディプレゼントであることを言外に滲ませてもいる。

ある意味まことに妙手と言って良いが、現に世界が動いたのである。

ワシントンの呼びかけに真っ先に応じたのは台湾共和国であったと言うが、遅れじと続いたのも中露二カ国で、あとはもう雪崩を打つようにして、その申し入れ競争が続いた。

無論その申し入れを受けた日本政府は即座に峻拒し、各国はそれを「公式」に、かつ「声高」に発表すると言う手順が繰り返されることになるのだが、声高に発表する側は日本に断られることによって、衆人環視の中で言わば恥をかくことになるにも拘わらずだ。

当然日米欧のマスコミは沸き立つように報道し、手を挙げた国名を挙げ、大声でその数をカウントしており、もう、えらい騒ぎだ。

無視された上に、「竹島の領有権」を否定された格好の韓国政府は、いちいちそれに反応し「公式」に反駁せざるを得ない。

何しろこれだけ大々的に報道されれば、国民の手前知らなかったことには出来ず、まして黙過すれば日本の領有権を追認したことにされてしまいかねないのだ。

結局この巨大な示威運動に同調した国家は、百八十七個国もの多くを数えることになり、詰まりはほぼ全世界が名を連ねて、「竹島が日本領である」ことを公式に承認したことになってしまった。

挙句、北部朝鮮までがこれに同調する始末で、この状況に遭遇した青瓦台(韓国大統領府)は、猛烈な抗議声明を狂ったように発し続けるほかは無い。

仮に相手が一カ国の場合であれば、断固として断交宣言を発し、外交使節団を引き上げる挙に出たであろうが、不幸にも相手は複数であり、それも圧倒的大多数なのだ。

一部の国家に対して既に発してしまった「断交宣言」ですら、大恥をかきながら、引っ込めざるを得ない状況にまで追い込まれてしまったのである。

まさか、全世界と断交など出来る筈も無く、青瓦台は益々窮地に陥ったが、これも、今まで半世紀に亘って自国民を騙し続けてきた当然の報いであり、今更真実の歴史を持ち出してきて、「実は、その領有の根拠にはもともと正当性が有りませんでした。」などとは、それこそ口が裂けても言えるわけも無い。

ことに当たって弱気な姿勢を見せれば狂騒する民衆の怒りを買い、政権そのものが崩壊してしまうことは確実であり、一旦権力を失えば、あの国のことだ、次なる政権の手によって獄に投じられることは目に見えている。

韓国政権は憐れにも、又しても自縄自縛の姿を世界に晒すことになってしまったが、まして、この示威運動の先頭に立って旗を振っているのは、誰でもない、あの米国政府なのである。

青瓦台は、袋小路に入り込んでしまったと言うほかは無いだろう。


ことが粛々と進んでいる最中(さなか)、ある公的事実が日本の官報に掲載されるに至ったが、それによれば、島根県隠岐郡隠岐の島町竹島官有無番地の民間払い下げの決定がなされ、同時にその登記を終えたと言う。

譲渡金額は五千万円だったと言い、しかもその払い下げを受けた「民間人」の名は久我京子となっており、詰まり、この時点でかの「竹島」は日本人久我京子の私有地となったことになるのだ。

当然、日本の国内法の建前で言えば、所有者がその私有地にいつ何時立ち入ろうと全く自由であり、そこで日向ぼっこをしようが、家庭菜園を楽しもうが、それこそ個人の自由と言うものであろう。

俄然、多くのマスコミが飛び付いた。

ビッグニュースなのだ。

報道の切り口では「秋津州王妃の私有地」の中に、「武装した不法侵入者」が多数存在していると言う現実についても、当然触れないわけにはいかなくなったのだが、「私有地」と言う視点に立てば、一般庶民にも判りやすく、手軽に論じることが可能になったことは事実だ。

現実の国際社会と同様に、仮に警察も裁判所も無力で手出し出来ないと言う前提で考えて見るが良い。

自宅の庭先に見ず知らずの人間が多数侵入してきたら、家人は果たしてどのように行動するであろうか。

もし、その侵入者が凶器を持っていたとしたら、「話し合いで解決しましょう。」と呼び掛けるだろうか。

そう提案すれば、侵入者は大人しく話し合いに応ずるだろうか、それとも、黙って刺し殺されるのを待つべきか。

まして、今回の「不法侵入者」たちが、いわゆる「兵器」を持っていることは、歴然たる事実であり、しかも家人(日本政府)の話し合いの呼びかけに応ずるどころか、近づけば砲撃をさえ加えて来るのである。

そして現実のこの国際社会には、実効性のある警察力や裁判所など全く存在しないのだ。

何にせよ世にも珍奇な国際紛争が惹起されたことを受けて、メディアの一部には、日本国刑事訴訟法第二百十二条及び第二百十三条等を挙げて、観測論評するものも出て来ており、念のため、以下に刑事訴訟法第二百十二条及び第二百十三条等を掲げて置く。

日本国刑事訴訟法 第二百十二条  現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。

○2  左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。

一  犯人として追呼されているとき。

二  贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。

三  身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。

四  誰何されて逃走しようとするとき。

第二百十三条  現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

第二百十四条  検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

なお、日本国憲法第三十三条には、「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。」とあり、そうである以上、日本国内においては堂々たる国内法に則って、「現行犯人は、何人(なんぴと)でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」のである。

「何人(なんぴと)でも」とあるからには、当然「久我京子と言う一民間人でも可である」、と読み替えることが出来ると言い騒ぐ者が少なく無く、マスコミによって点火された火の手は日本全土に燃え広がり、彼等は喜び勇んでその火勢を強めて行く。

思えらく、過日、秋津州内務省は新王妃の専従として、新たに一個小隊を編成したことを公式に発表していたのである。

この「一個小隊」は、機外に出て活動する戦闘部隊を千人、それに十万のD二、一千万のG四の備えであった筈で、軍事評論家と称する人々が、その固有の戦力についても大いに論じて見せるに至った。

曰く、その戦力は第七艦隊のそれを優に凌ぐほどのものである。

曰く、いや、米英連合の全戦力にすら匹敵するだろう。

これが、たかが一個小隊に与えられた戦力評価なのであり、とにかく、マスコミにとって、これ以上の食材は無かったから、各社ともにさまざまに料理して庶民の食卓に供して行く。

無論、その料理には多種多様の調味料が使われ、大本の食材の味や香りなどは大幅に変質してしまったとは言うものの、王妃の持つ(と言われる)「一個小隊」の戦力は、少なくとも「一韓国軍を殲滅するに当たって全く不足することは無い。」と言う点では異論が無い。

尤も、久我京子と言う一民間人が、これほどの「軍事力」を有していると言う現実は、法治国家として疑義有りとする声もかまびすしい。

これを正に「軍閥」であるとして、捜査機関に告発状を提出し、同時に久我京子宛に公開質問状を発すると言う者もいたが、いずれの捜査機関も「告発状」を受理したと言う話は無く、かつまた公開質問状を送付したと言う声も聞こえては来ない。

一方の王妃も沈黙を守っているとされ、首相の定例会見場などには、いかにも正義感に溢れているかのように見える記者たちが溢れ、そのヒステリックな語調の質問に応え、「その軍閥と言うのはどこにあるんだい。」と言う、実におっとりとした首相談話が聞こえて来る。

元来、「軍閥」と言うのは、「私的な軍事力を備え、地方に割拠した支配勢力」の謂いではあろうが、この日本の中に「私的な軍事力」も、「地方に割拠した支配勢力」も具体的な実像として捉えられたことが無い上に、仮に「軍閥」の定義からは外れても、他者に脅威を与えるような兵器や武器を持っていれば、歴然として違法なのだが、そういったものも何処にも見えて来ないのだ。

詰まり、違法性の実体が見つからないのである。

こうなると、マスコミの関心は王妃がいつ問題の私有地に入るか、そして、その時にどういう行動をとるのかに集中して行かざるを得ない。

その結果、日韓両国間にどういう外交問題が惹起されるのか、その延長線上に待っているのは、「戦争」そのものなのではなかろうか、結局は、大切な「平和」が破壊されてしまいかねない、という一点に収斂して行くようだ。

折角、先人が苦心惨憺して保ってきた「平和」が乱されてしまうのは断じて容認出来ない、と叫ぶマスコミや「ヘーワシミン」が多いが、これ等とは全く対照的な人々も日本国には「静かに」存在していたと言うべきであり、それは、「自国の領土(竹島)が武力を以って占領されてしまい、なおかつ日本の海保の船が近づけば、必ず砲撃を受けると言う現在の状況そのものが既に戦争状態である。」と感じている者たちのことだ。

この人々は、「自らの国家は自らが守ろうとしなければ、その瞬間に自ら滅んだも同然である。」と言う共通理念を持ち、その理念を芯とする多数の同心円を形成しつつあるようだが、その大小さまざまな同心円は、主として「秋桜」ネットワークを標榜する人々の手によって形成されて来ており、今では互いに連携を深めながら僅かに声を上げ始めていたのである。

これ等の同心円が、五百万から二千万もの「日本人」を包含していると言う説まであると言うが、現状では組織化されているわけではないため正確なところは全く不明だ。

しかしながら、その勃然たる「民の声」は、時として地表に現れることも無いではない。

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  1. 2005/11/05(土) 09:38:35|
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