日本大好きじいさんの落書き帳

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自立国家の建設 006

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ところが、このような環境の中に複数の白人女性が割り込むようにして出現することになる。

彼女たちはメディア側によって新たに選抜された対国王専任のジャーナリストとされているが、揃いも揃って相当な美女揃いであり、さながら選りすぐりのピンナップガールが研を競うような華やかさであった。

その年齢層も、最年長と思われるリーダー格の女性でさえ二十八歳、あとの者は押しなべて二十歳前後に集中しており、この点から見てもメディア側若しくは米国側の底意が透けて見えるようだ。

無論、秋津州の君主は青春の真っ只中にいる。

その少年との親密な関係を専ら恣意的に結ぶ手段として、これ以上有効な方法は決して見当たらないであろう。

この者たちは女性ばかりで六人のティームを組んで国王への接近を図ることになり、昼夜を分かたず積極的にアプローチを続け、その中でリーダー格のサランダインと年若のマーベラの二人が、どうやら王の信任を勝ち得たようではある。

中でもマーベラは未だ二十一才、豊かなブロンドと澄んだブルーの瞳、そして百七十センチを僅かに超える身長と素晴らしいプロポーションの持ち主で、ティームの中でもその気品ある美貌は群を抜いており、NBSの男性クルーの間でも飛び抜けて人気の的であった。

さらに彼女は商社勤務の父を持ったことにより、十代前半には滞日生活の経験まで有り、その上帰国後は在米日系人の友人を数多く持ったこともあって、日本文化に対する理解もずば抜けている。

また、国王との会話にも常に優れた会話能力を発揮しており、作戦の鍵を握っているのは彼女かもしれないと言うサランダインの予感は、もはや確信に変わりつつあった。

国王のマーベラに対する親密な言動は、年若い国王が極めて健全な男子であることを何よりも雄弁に物語っており、また国王が時折り見せるサランダインへの心配りは、マーベラの上司としての立場を慮ってのそれであることも容易に察しがつく。

このためサランダインの作戦は、マーベラを尖兵とした集中攻撃方式に変更されることになり、この作戦変更はマーベラ自身をも喜ばせることになった。

当然、ほかのメンバーが国王の身辺に近づく機会が減り、その分だけ彼女自身の職務上の好機も増えるからであろう。

ただサランダインの気がかりは、マーベラ自身の胸のうちの変化に対するものであった。

ここ数日間の国王との親密な接触活動は、マーベラ自身の中にも大きな変化をもたらしてしまったようなのだ。

国王とのさりげない会話の中で時折り見せる恥じらいは、サランダインの目には恋する乙女のそれとしか写らないために、隠された任務の妨げとなることを密かに憂えたのである。

だが、マーベラにしてみれば、NBSと言う一流メディアの関連企業と契約した一民間人のつもりでおり、ジャーナリストとしての積極的な情報収集活動の結果が、幸いにも国王からの信任を得ることに繋がったと言う認識でしか無い。

国王から格別の信任を得られたことは、それこそ公私にわたって望外の喜びとなっており、若者との接触が極めて短期間であったにもかかわらず、既に輝ける未来まで夢想するに至っていたのである。

恋する乙女が胸に抱いた夢想の中では、煌びやかな舞台の上に自らがこの国の王妃となって登場してくるのだ。

自然、彼女にとっての日々は相当の部分において心楽しいものであった上に、その雇用条件も魅力的で無かったとは言い難いが、当時の秋津州はその治安についてさえ、若干の不透明感が云々されていた頃のことでもあり、その報酬にしても当然そのことが考慮された結果だと考えても、あながち不自然とばかりは言えない程度のモノだったのである。

また、乙女にとって魅力溢れる若者には、敢えて二人きりになろうとするような積極的なところは見当たらず、その言動もまことに抑制的なものではあったにせよ、乙女の恋心を受け入れてくれていることだけは確かなことに思えていた。

三つも年上の女として本能的に感じるのだ。

ただ、彼女には想像も出来ないことではあったが、若者の胸の内には必死の思いで乗り越えねばならない高いハードルがあり、それは若者個人の問題だけにはとどまらない事柄でもあった。

秋津州にとって第一級の国家機密だと言い換えても良いほどだ。

無論それは、サランダインにとっても極めて重大な情報として扱われるべきものであり、同時にワシントンへも即座に伝えられるべき事柄なのである。

サランダインの負っている任務は全力を挙げて若者に関する情報を探ることであり、そのためには為し得る限り広範な網を張り、掛かって来る獲物に応じてあらゆる手段を採る用意も出来ている。

ワシントンから降りてくる膨大な予算は、彼女の構築しつつある網の目を、途方もなく強固なものに育てつつあったのだ。

しかし、或る夜、それほどのネットワークが国王の所在を全く見失うことになる。

彼女の張り巡らせたいずれの網にもかからず、ここ数日では初めてのことでもあり、そのあせりを呼んだことも確かだ。


実は、この夜の国王は、南太平洋に浮かぶ、とある小島の上空、はるか高高度に浮かぶ国王専用機の中に在った。

そこはナウル共和国と言い、キリバスやソロモン諸島に挟まれた孤島で、その面積もおよそ二十一平方キロメートルほどと、秋津州の四百分の一ほどでしか無いまことに小さな島国だ。

枯渇寸前の燐鉱石が唯一に近い産業であり、そのためもあって長らく政情不安が続き、さまざまに変則的な事柄を生んでいる。

そのことが、若者をしてこの領域に特段の関係を保たしめるに至っており、そのこともあって今日もこの地を訪れていたことになる。

漆黒の国王専用機は、闇に紛れてひっそりとこの地に着いたのだが、しばらくして新たな乗客となった者が一人だけいたのだ。

それは、二十代後半と思しきアジア系の女性で、抜けるような白い肌と漆黒の髪を持っていた。

すらりとした長身が弾むように機内に消えて間も無く、その全裸の姿が、若き国王と共に機内のベッドにあった。

国王よりもはるかに年上に見えるこの女性は、白い裸身を奔放にくねらせ、ときに撓らせ、男の若さを全身で受け止めながら、耐えようとしてなお耐え切れぬ風情で歔欷を洩らし続ける。

長い黒髪が降りかかる美しい眉を切なげに寄せながら、鮮やかな朱唇を噛み、ときに嗚咽する。

若い獣の愛撫に応え、全身でその歓びを表現しているかのようだ。

それに引き換え若者の方は悠然たる所作を以て女体を扱い続け、まるで多くの女性遍歴を重ねて来たもののように、あらゆる手管を用いて飽くことを知らぬかのように女体を味わい尽くしていく。

女体は幾度と無く燃え上がり、また燃え尽きて、絶え絶えの息の下から切なげに助けを求め始めた。

そしてその声がひたすら哀願の調べに変わるころ、ようやく若き獣の攻撃は已むことを得たが、不自然であったのは、そのあとの女の行動だ。

誰かがこの光景を見れば、女の行為にはかなりの違和感を感じたに違いない。

男にここまで執拗な愛撫を受け、息も絶え絶えになるまで女の歓びを味わい尽くした筈の女体なら、しばしの安息を求め、また余情を愉しむことにも多少の拘りはあって然るべきだろう。

それが、ほんの一呼吸で立ち上がり、実にきびきびとした所作を以て実に奇妙な作業を始めたのだ。

続いて自らの身仕舞いを済ませ、王の体を拭い、飲み物を用意し、そして王の身じまいの手助けまでしてのけたのである。

そこには、先程来の男女の交歓の熱気は、全くと言って良いほど残ってはいない。

女はひたすら敬虔な姿勢を保ちながら傍らの椅子に座り、六尺一本の若者はベッドでゆったりと冷酒を味わう。

「陛下、もう充分でございますわね。」

実は、女は、男子としての訓練は最早充分だと言っているのである。

「生身の女性に接したことは無いし、自分には判らん。」

要するに、つい先程まで熱く接していたこの女性は、生身の女性では無いということか。

しかも、若き君主は未だ童貞だと言うことになるであろう。

「お京。」

「はい。」

この年長の美女の名は、お京と言うようだ。

「このようなことが何の役に立つと申すか?」

「男子の生育過程で必ず必要なことでございます。まして、特別のおん方でいらせられる上は・・・」

「・・・。」

特別の存在だと極め付けられた少年は、ひどく味気ない表情を浮かべたまま黙してしまった。


ちなみに、「お京」の言う「特別の存在」とは、実にさまざまな意を含んでいる。

そもそも、秋津州の王たるべき資格としては純良なる資質を持つことは無論のこと、超長距離の空間移動能力、気嚢を持った強力な心肺機能とそこから生み出される並外れた身体能力があり、それに加えて強力な通信機能が必要とされている。

殊にこの空間移動能力と言うものは、実に不可思議なものと言うほかは無い。

その持主や成長過程によっても甚だしい差はあるものの、自分自身の肉体は勿論ほかの物体まで、手も触れずに、かつ一瞬にして移動させることの出来る能力なのである。

殊に初代の君主が持ち得たこの能力によって、古代大和の邦から他の天体に移り住んで以来、代々の王は全てこれ等の資質を持って生まれてきたとされる。

他の天体に移り住んだいきさつにしても、異常な資質を持って生まれた初代の君主が、それを知った人々から陰湿極まりない排斥を受けてのものであった。

詰まり、逐われたのである。

その人は、確かに「異形(いぎょう)の者」であったには違いないが、余程士心を得ていたものと見え、それでなお幾多の一族郎党が付き従ったとされている。

彼等の行く先は、この異形の君主が事前に発見していた他の天体であった。

そこは、少なくともこの銀河系では無い。

いわゆる系外銀河であり、無論途方も無く遠い。

そこへの移動は、異様な力によって数次に亘って行われ、家屋敷から家財道具一式、そして農耕用の牛馬や武具の端々に到るまで一瞬にして移動させられたため、彼等は自分の身に何が起きたのかさえ考えるひまもなかったろう。

周知の通り大宇宙には無数の惑星が存在するが、恒星との距離や星齢及び質量などなど、さまざまな条件によってときに相似性を帯びることがある。

当然、この太陽系第三惑星と良く似た経過を辿るものも数多く存在する筈だ。

全て貴重な偶然の賜物であり、彼等はその中の一つに移動して行ったに過ぎない。

無論その天体も地球と良く似た環境を具えており、その後、同様の条件を備えた他の天体をも発見し、いずれの天体にもたまたま知性体と呼べるものが存在しなかったために、幸運にも現在に至るまで三つの天体を総て支配してきている。

しかし、地球を含め四つの天体の間に横たわる気の遠くなるほどの距離のために、王たる者の空間移動の力無くしては、あの「マザー」でさえそれぞれの間を移動することは出来ない。

この三つの天体は、発見された順に「丹後」「但馬」「丹波」と、遠い故里に因んだ懐かしい名前が与えられ、そのときどきの王が父祖の地から数度に亘って移植した多種多様の生物を根付かせることにも成功し、やがて懐かしい故里と良く似た環境の小宇宙を多数形成していった。

また、遠い昔にたまたま「丹後」に不時着してきた異星人からその超絶的な文明を受け継いだことにより「マザー(当時は別の名称であったが)」と言う優れた人工知能を持つことにも成功し、その力と豊富な資源とによって精緻な工業生産ラインを多数持つに至り、さまざまな文明の利器を大量に生産することも可能とし、その後自らの文化とも融合させながら独自の進化を遂げつつ今日に至っている。

ところが、この種族はいっときは数百万にまで増殖することを得たのだが、いつしか自然の繁殖能力を衰えさせるに至り、哀れにも減少の一途を辿る事になってしまう。

そのためもあって、これまで日本への再移民が幾たびか企図され、また実行に移されたこともあったのだが、いずれにおいても完全な成功を見るまでには至らなかったと言う。

いずれにせよ絶滅の危機を前にして、せめて一族の文化だけでも子孫に引き継ぐための媒体が必要となり、それを目的としたヒューマノイドを製作し、それらに一族の生活文化を移植することによって、古来の村社会の態様を徐々に引き継がせ、変わらぬ生活様式の中で貴重な新生児を包みこむようにして育むことになる。

しかしこの努力も空しく、先先王のときには一族の子供たちは数人にまで減少してしまい、止む無く一族の精子と卵子を冷凍保存するまでになっていた為、精子を採取するための女性型ヒューマノイドに関する技術が一段と発達し、現在ではその発展型としてのお京たちのボディが存在している。

このタイプのヒューマノイドは見せかけの代謝機能を持ち、僅かであれば飲食して見せることも可能であり、外見は勿論、エックス線における静止映像においてもその正体を露呈せずに済むほどの精密な内部構造を持つが、当然肉体的に成長することまでは出来はしない。

なかでも、日本国籍を有するヒューマノイドたちの場合などは、乳児の時から外見上成長して行き成人となり、そして老成に至るまでの数十種類ものボディを用意して適時交換する必要があり、非常なコストがかかる。

そのボディは人間並みに弱く、傷つけば出血もするし、健全であっても定期的に体液の交換を受ける必要もあり、自然、維持可能な体数も限られてくる。

そのため現在その総数は七千体ほどが機能しているのみで、その殆どが秋津州の村社会を構成しているボディだ。

これ等は、限られたボディ容積にさまざまな見せかけだけのものを備える必要があるため、超小型、低出力の永久原動機を多数使用する設計にならざるを得ず、自然、完成した個体は通常の人間と大差の無いパワーしか期待出来ない。

それに引き比べ、設計上の自由度の高い兵士型の個体は、強大な戦闘能力と飛行機能を具え、ずば抜けた耐久性をも発揮するマシーンなのだ。

この男性型は「RC-M」、女性型を「RC-F」と呼び、会話能力こそ持たないものの、特異な通信機能を以って磐石の統率を受けつつ秋津州兵団の中核を成しているが、体内の見せ掛けだけのものを一切排除し、ひたすら機能面を追求して造られており、万一破壊を受けても無論出血などはしない。

また、初期のころから王の親衛隊を組織して来た個体が別に三十三体存在し、これも又さまざまに進化を遂げて今日に至っている。

この三十三体は特殊な通信機能はもとより、会話能力とそして高い瞬発力をも併せ持つが、飛行機能を持たず、その代わりさまざまな乗り物を駆って王に従う近衛軍なのだ。

これらのヒューマノイドは、総て「マザー」自身の学習の発達に連れて共に進化してきており、それは今もなお絶えざる進歩を続けていると言って良い。

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  1. 2005/06/20(月) 13:29:58|
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